チュルリョーニスの交響詩『森の中で』・『海』

今日はチュルリョーニスの交響詩『海』と『森の中で』をご紹介したいと思います。

リトアニアの作曲家・画家であるミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス,
Mikalojus Konstantinas Čiurlionis (1875-1911)は、35年の生涯のうちに2曲の交響詩を作曲しました。

一曲目の交響詩:『森の中で』(リトアニア語ではMiške)作品番号VL 1は1900年10月から1901年4月かけて作曲されました。その頃チュルリョーニスは1899年6月にワルシャワ音楽院を卒業し、そのままワルシャワで家庭教師をしていました。この交響詩のスケッチは、ワルシャワで行われたマウリツィ・ザモイスキ・コンクールのためにわずか11日間で書きあげられたのでした。コンクールでは優秀賞を受賞したのですが、賞金は他のひとの手に渡ってしまったと言われています。

この交響詩『森の中で』は打楽器を含まない3管編成の管弦楽曲で、ソナタ風の形式をとっています。拍子は不規則で、またフェルマータが多用され、和音の反復進行が効果的に使われていて、そこにチュルリョーニスの独創性をみることができます。

この交響詩についてチュルリョーニスは1902年に友人のピャートラス・マルキャーヴィチュスに宛てた手紙のなかで、「この作品は静かな幅の広い和音で始まります。ちょうどリトアニアの松の木々の穏やかで風にそよぐようなため息のようです。この和声をオーケストラの演奏で聴けたら面白いでしょう。僕の想像している音が出せなかったら残念だけれど。」と述べています。冒頭部分の弦楽器の和音にの上に、ホルンの和音が重なり、その上にクラリネットについでフルートが主旋律を奏でる部分などはまさにリトアニアの松林を想わせます。


二曲目の交響詩:『海』(リトアニア語ではJūra)作品番号VL 5は、1904年の春から1907年に作曲されました。その頃チュルリョーニスは1904年の春に新たに開校されたワルシャワ美術学校へ入学します。1907年にはこの交響詩のオーケストレーションを終え、絵画作品の創作に取り掛かっています。

この交響詩『海』は、交響詩『森の中で』と同じ3管編成ですが、今度は打楽器が加えられ、ホルンが6本に、ハープは2本になっています。形式は自由なソナタ形式で、ここでもフェルマータが後に起こる主題を効果的に予兆しています。この曲もハープのアルペッジョからはじまり、フルートが静かにメロディーを奏で始め、それを低弦パートが受け止める部分などは、リトアニアの情景を想起させます。再現部でのコールアングレによる主題はチュルリョーニスの生まれた南東リトアニアのズーキヤ地方の民謡に似ていたことから、後に妹のヤドヴィーガ・チュルリョニーテによって「ズーキヤの主題」と名づけられました。ランズベルギス氏の著書では、「この『海』は様式上、後期ロマン派(リヒャルト・ワーグナーとリヒャルト・シュトラウスの技巧が反映されている)と関連づけられるが、その意味のより深い水準では、これは完全に独創的な作品である。象徴的で絵画的なドラマの概念は、ここに新たな考え方を求めて努力し、新しい道を探し求めている。同時に、旋律のパターンから世界観や美学に対する根本的な面に至るまで、さまざまな表現において典型的なリトアニアの香りを感じ取ることができるのである。」と述べられています。



ここで、手元にあるチュルリョーニスの交響詩が収録されているLPやCDをご紹介しておきます。


LP-MELODIYA: D 013977/78 (SU, 1964) Symphonic Poems: "Miške" [In the Forest] [VL 1] & "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Balys Dvarionas / Moscow Philharmonic Orchestra)












LP-EMI/ HMV/ MELODIYA: ASD 3503 (UK, 1975) Symphonic Poem: "Miške" [In the Forest] [VL 1] (Juozas Domarkas / Lithuanian State Philharmonic Orchestra)












CD-MARCO POLO: 8.223323 (6253-06-90) (HK, 1990) "The Sea. In the Forest. Five Preludes." Symphonic Poems: "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Edited by Eduardo Balsio) & "Miške" [In the Forest] [VL 1] (Edited by Eduardo Balsio), Preludes (Arranged by Antano Venckaus): "Dainelė" [Little Song] [VL 199], Prelude in G minor [VL 90], Prelude in B flat major [VL 94], Prelude in D flat major [VL 187], Prelude in D minor [VL 239] (Juozas Domarkas / Slovak Philharmonic Orchestra)






このCDは↓から購入可能です。
Ciurlionis: The Sea/In The Forest/Five Preludes






CD-LE CHANT DU MONDE: LDC 288004 (F-1020) (FR, 1991) "Ciurlionis: Poèmes symphoniques. Quatuor à cordes" Symphonic Poems: "Miške" [In the Forest] [VL 1] & "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Edited by Eduardo Balsio) (Vladimir Fedoseyev / Moscow Radio Television Symphonic Orchestra), String Quartet [VL 83] (Vilnius Quartet)












CD-KING: KICC 76 (FC911D SA) (JP, 1992)
Symphonic Poems: "Miške" [In the Forest] [VL 1] & "Jūra" [The Sea] [VL 5, original version] (Gintaras Rinkevičius / Lithuanian State Symphonic Orchestra)












CD-TRITON: DMCC 26012 (JP, 1997) "The Sea under Evgeny Svetlanov" Symphonic Poem "The Sea" [VL 5] (Evgeny Svetlanov / Russian State Symphonic Orchestra)












CD-SEMPLICE: VSSECD 003-6 (LT, 2000)
"Mikalojus Konstantinas Čiurlionis (1875-1911)" CD 1: Simfoninės poemos: Miške [VL 1], Jūra [VL 5, originali versija] (Gintaras Rinkevičius / Lietuvos valstybinis simfoninis orkestras)















CD-SEMPLICE: VSSECD 003 (LT, 2000)
Symphonic Poems: "Miške" [In the Forest] [VL 1] & "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Gintaras Rinkevičius / Lithuanian State Symphonic Orchestra)












CD-DREYER GAIDO: CD 21027 (DE, 2005)
Symphonic Poem: "Miške" [In the Forest] [VL 1] (Gabriel Feltz / Philharmonisches Orchester des Theaters Altenburg-Gera)









CD-EXTON: OVCL 00287 (JP, 2007)
Symphonic Poem: "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Evgeny Svetlanov / Russian State Symphonic Orchestra)








CD-SVETLANOV FOUNDATION: SVSEA
005 (RU, 2007) Symphonic Poem: "Jūra" [The Sea] [VL 5] (Evgeny Svetlanov / Russian State Symphonic Orchestra)


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by ciurlionis | 2009-01-03 23:59 | 音楽