『日本の思い出』 ジャポニスム ~その2~


先日のブログで、ピアニストの小川典子さん演奏のCD"Japonisme"をご紹介しましたが、本日は、その第2弾とも言えるエリカ・ヘルツォークさん演奏のCD『日本の思い出~Memoirs of Japan』をご紹介します。

今回のCDは、ドイツ人と日本人のハーフであるエリカ・ヘルツォークさんの演奏による日本を題材としたピアノ曲集です。演奏はしっかりとしたタッチとともに、日本的な抒情性をたいへん美しく表現されていました。

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オーストリア人作曲家、ゲオルク・カペレン(1869-1934)によって西洋風に和声付けされた「君が代」 作品26の1 (1903)は、一世紀も前の作品とは思えないほど斬新な和声で、一瞬子守唄かと思うほど、優しく響くフレーズもあり、なかなか不思議な魅力があります。

アメリカの作曲家、ヘンリー・アイクハイム(1870-1942)の「東洋の印象」より〈日本のスケッチ〉と〈日本夜想曲〉は、ワグネリアンであった作曲家が来日時に能を鑑賞し、芸術観を根底から覆されたのちに作曲された作品だけあって「日本をイメージしている」と言われると、そのように聴こえてくるのですが、この曲は戦前の日本の音楽界でもかなり知られていて「誤った日本像の例」として言及されていたそうです。

フィンランドの作曲家、エルッキ・メラルティン(1875-1937)の「日本の桜」 作品85の5は、ピアノの音域が満遍なく使用された、とても絵画的な作品です。フィンランドの作曲家の作品だけあって、自然を想わせるようなフレーズが印象的です。

このCDはすべての作品が個性的で聴きごたえがあるのですが、特に「さくらさくら」の旋律を採用しているエルンスト・プッチェル(1896-1962)とドミートリー・カバレフスキー(1904-1987)の変奏曲はそれぞれ、日本的ななかに西洋が絶妙に融合されていて、そこがまた「外国人による日本的変奏曲」として魅力的に聴こえました。特にカバレフスキーの方は、かなり斬新でした。

最終トラックに収録されているエフゲニー・キーシン(1971- )作曲による「浜辺の歌 パラフレーズ」もなんとも言えず美しいです。浜辺の歌がとてもロマンティックな曲に仕上がっています。


この「日本を題材としたピアノ曲」を集めたCDはとても良く考えられていて、すばらしい企画だと思いました。こんなにも大勢の世界の作曲家たちが日本に着目し作品を作曲している事実を知り、またその作品に触れることができるとても画期的で意味のある一枚です。この続編も期待したいです。

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チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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by ciurlionis | 2009-01-18 23:59 | 音楽