カール・ライネッケ 『クラリネット室内楽作品集』



今年に入ってから単行本『チュルリョーニスの時代』を読み返していて、26~7歳のチュルリョーニスがライプツィヒ音楽院留学時代(1901-02)に「作曲法をライネッケ教授に、また対位法をヤーダスゾーン教授に学んだ」とあったことを思い出し、これを良い機会としてライネッケを聴いてみることにしました。Carl Reineke: Fantasy Pieces Op. 22; Trio Op. 274; Sextet Op. 271というCDです。


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Carl Reinecke(1824-1910): Chamber Music with Clarinet
Fantasy Pieces, Op. 22
Trio, Op. 274
Sextet, Op. 271

Clarinet: Csaba Klenyán
Horn: Gábor Bizják, Gábor Tóth
Flute: Gergely Ittzés
Oboe: Ilona Csizmadia
Bassoon: György Lakatos
Piano: Ildikó Cs. Nagy
(Hungaroton Classic 2005)



カール・ライネッケ(Carl Reinecke, 1824-1910)は、ドイツの作曲家・ピアニストで、父親から音楽教育を受け、ヨーロッパ全土でピアニストとして、また教育者としても活躍しました。シューマンやリストと親交があったことでも知られています。

チュルリョーニスが友人のモラフスキに宛てた手紙を読むと、1902年の初めには、「もはや、ライネッケには信がおけない――彼は僕を縛りすぎ、二人の好みは完全に違うときている」と書いています。

また、もう一通の1902年2月のモラフスキに宛てた手紙では、チュルリョーニスはライネッケ教授について「何と言っても彼が好きなのは音楽の「中庸」で、彼は生徒たちに百年も前に実践されていた方法で作曲をするよう望んでいる。多分それは良いことだが、最初だけだ」と述べているように、ライネッケは多産な作曲家ではあったけれども、どこか保守的で中庸な作品が多いような感じがします。

これらのライネッケ教授とチュルリョーニスの感性の不一致が原因だったのかは不明ですが、その頃からチュルリョーニスは絵画を描き始め、1902年秋にはワルシャワに戻り、今度は絵画学校に通い始めるのでした。


今日聴いていたのは、『クラリネット室内楽作品集』ですが、いずれもウェーバーやブラームスを想わせるロマン的な作品でした。おすすめは、六重奏曲 Op. 271で、それぞれの楽器の良さを活かすように作曲されていて、木管楽器の音色が重なり合って響くtuttiのフレーズなどには美しい場面もありました。

『クラリネット室内楽作品集』というCDなので、クラリネット奏者に期待をしてこのCDを購入したのですが、クラリネット奏者のCsaba Klenyánの演奏は、特に個性のあるものではなく、オーケストラ・プレイヤーというよりは、室内楽向けの奏者であると思いました。どうやら現代音楽を得意としている奏者のようです。また機会があったら、彼のほかの演奏も聴いてみたいと思います。

しかし、チュルリョーニスと関わりのあった作曲家の作品でしたので、興味深く聴くことができました。

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チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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by ciurlionis | 2009-01-20 21:48 | 音楽