チュルリョーニスとカール・ライネッケ教授



今朝早く、アメリカの第44代大統領にバラク・フセイン・オバマ氏が就任されました。
これを機会に世界中の景気が少しでも良くなってくれるよう願っています。

昨日に引き続き、ライプツィヒ音楽院に留学した頃のチュルリョーニスについて考えていて、あるCDのことを思い出しました。

先日、弦楽四重奏曲を取り上げた日にちょっとだけ触れましたが、チュルリョーニスとカール・ライネッケ両氏の作品が収録されているCDがありますのでご紹介します。

収録されているのは、チュルリョーニスがライプツィヒ音楽院時代に作曲した、弦楽四重奏のためのカノン2曲と弦楽四重奏曲1曲。ピアノ曲7曲。そして、カール・ライネッケ教授作曲のピアノ五重奏曲イ長調作品83(1866)です。演奏もリトアニア人アーティスト、Čiurlionis Quartetと、Petras Geniušas (piano)によります。Čiurlionis Quartetの演奏が素晴らしく仕上がっています。数々のCDを聴いてきましたが、チュルリョーニスの作品は、奏者によって大きく趣が変わってしまうものであることがわかりました。このCDに収録されている弦楽四重奏曲は特におすすめしたいと思いました。


ここで、改めてライプツィヒ留学時代に作曲されたということを意識して聴いてみると、Pastorale VL 187, Prelude VL 182a, VL 188, Little Song VL 199などは、ライプツィヒで作曲法を学んだ成果というよりは、まだ、ポーランドのショパンやワルシャワ音楽院での影響が残っているように感じました。しかし、Fugue VL 219やPrelude VL 230は、対位法や斬新な反復進行などが採用されていて、それまでのチュルリョーニスの作品とは違ってきていることが感じ取れます。

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1. M.K.Čiurlionis. Canon in C minor (VL 216a; 1902)
2. M.K.Čiurlionis. Canon in D major (VL 217a; 1902)

3. M.K.Čiurlionis. Prelude in D flat major (VL 187; 1901)
4. M.K.Čiurlionis. Fugue in C minor (VL 219; 1902)
5. M.K.Čiurlionis. Prelude in F major/A minor (VL 188; 1901)
6. M.K.Čiurlionis. Mazurka in E flat minor (VL 222; 1901)

7. M.K.Čiurlionis. String Quartet in C minor. Allegro moderato (VL 83; 1901)
8. M.K.Čiurlionis. String Quartet in C minor. Andante
9. M.K.Čiurlionis. String Quartet in C minor. Menuetto
10. M.K.Čiurlionis. Little Song (VL 199; 1901)
11. M.K.Čiurlionis. Prelude in B minor (VL 182a; 1900)
12. M.K.Čiurlionis. Prelude in A minor (VL 230; 1902)

13. Carl Reinecke. Piano Quintet in A major, Op. 83. Lento ma non tropo. Allegro con brio (1866)
14. Carl Reinecke. Piano Quintet in A major, Op. 83. Andante con variazioni
15. Carl Reinecke. Piano Quintet in A major, Op. 83. Intermezzo
16. Carl Reinecke. Piano Quintet in A major, Op. 83. Finale. Allegro con spirito

Petras Geniušas (piano)
Čiurlionis Quartet


このCDのライナーノーツを読んでいたら、「内気だけれども野望のあるわずか26歳のリトアニア人田舎者が、77歳にもなるドイツの伝統主義者であるライネッケに出会ったのだから、年齢さもある彼にがっかりさせられるのも当然であったかも知れない」「またチュルリョーニスはドイツ語が全くできなかったがために友達ができなかった」とあり、納得してしまいました。チュルリョーニスはわずか1年しかライプツィヒ音楽院にいませんでしたし、まして年齢差のある教授と分かり合えるようになるにはもっと時間が必要だったのかも知れません。しかし、チュルリョーニスは自身の卒業作品であった弦楽四重奏曲VL 83について「この作品は特に悪いというものではなかったけれども、演奏が本当に下手だった。私はすばらしい演奏を期待していたが、まったく不満であった。しかし、ライネッケ教授はこの作品が気に入った様子だった」と述べていて、結果的に1902年の夏にはきちんと音楽院を卒業しています。

このCDに収録されているカール・ライネッケ教授のピアノ弦楽五重奏曲もさすが大作曲家を何人も育てた方だけあると思いました。今日のCDの作品を聴いてみて、また新たに彼の作品のすばらしさに触れることができました。変化があって、ドラマがあって、軽快なフレーズもあり、もりだくさんでしたので、もっと色々な作品を聴いてみたくなりました。

また、彼の作品では、フルート・ソナタやフルート協奏曲が演奏会などでよく取り上げられますので、機会があったら生演奏も聴いてみたいと思いました。


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チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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by ciurlionis | 2009-01-21 23:17 | 音楽