南葵楽堂の記憶 ~カミングズ・コレクションの至宝から~



先日、JTアートホール アフィニスで行われた「麻布飯倉 南葵楽堂の記憶 〈カミングズ・コレクションの至宝から〉」というレクチャー・コンサートに行ってきました。


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「南葵楽堂」というのは、紀州徳川家第15代当主徳川頼倫(1872-1925)が創設した「南葵文庫」に付属する形で立てられた音楽ホールで、息子の頼貞(1892-1954)の希望によって1918年、音楽図書館「南葵音楽文庫」とともに開設されました。

私がこの「南葵楽堂」について知ったのは、ロシアから日本を通ってアメリカに移住したプロコフィエフが1918年の夏に2か月ほど日本に滞在していた折に徳川頼貞から楽曲の作曲を依頼され、しかし、プロコフィエフの旅立ちが思ったよりも早まってしまったことで実現しなかったということを読んだのがきっかけでした。徳川頼貞について調べて行くうち、頼貞は日本の音楽文化の先駆けとして音楽ホールや公共音楽図書館を開設した方として関心を持っていました。

この「南葵楽堂」(南葵音楽文庫)には、英国人ウィリアム・カミングズ(William Cummings, 1831-1915)が蒐集した音楽資料、「カミングズ・コレクション」が多く所蔵されていました。それは、カミングズの蔵書の一部が、1917年にロンドンで行われたオークションに1700点ほど出品され、それを知った頼貞がそのうちの約400点を落札し、その落札品のなかには、ヘンリー・パーセルやヘンデルの筆写譜が含まれていました。

今回のレクチャー・コンサートでは、まず、この「カミングズ・コレクション」についてや南葵楽堂についての詳しい説明があり、その後にこの頼貞がロンドンで落札した「カミングズ・コレクション」のなかから、パーセルのオペラ《インドの女王》や《ダイドーとエネアス》から序曲や歌曲、ヘンデルのオラトリオ《メサイア》からアリア、ジョン・クリストファー・スミス(1712-1975)のオペラ《アルタセルセ》からアリアなどが演奏され、大変充実した催しとなっていました。

それぞれソプラノ、チェンバロ、カルテットで出演された音楽家たちも大変水準の高い演奏をされていました。次回もこのメンバーによる他のコレクションの演奏会を期待したいと思いました。

今年は、パーセルの生誕350年とヘンデルの没後250年の年にあたりますので、その年に彼らの曲をオリジナルに近い形で聴ける良い機会となりました。

今年中にもう何回か同じような企画の演奏会があるといいですね。

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