サウリュス・ソンデツキス指揮 リトアニア室内管弦楽団のCD その2


今日も、今週来日するリトアニア室内管弦楽団のCDを聴いてみました。

ロシア(旧ソ連)の作曲家シュニトケ(1934-1998)とグバイドゥーリナ(1931-)、エストニアのペルト(1935-)の作品が収録されています。録音は1991年7月初めにドイツで行われていて、リトアニアが1990~1991年にかけて旧ソ連からの再独立を宣言した頃と重なっています。1991年1月には、リトアニアのヴィリニュスで「血の日曜日事件」と呼ばれる痛ましい事件がありましたが、その直後だけあって演奏からも深い悲しみのようなものが感じられます。これも指揮者のソンデツキスとリトアニア室内管弦楽団の意思がひとつになっていたからこその名演であると思いました。

このCDは今日では入手しにくくなっていますが、「こちらのサイトで」試聴することができます。


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収録されている曲は下記の通り。

シュニトケ: ピアノと弦楽合奏のための協奏曲
グバイドゥーリナ: イントロイトゥス、ピアノと室内オーケストラのための協奏曲
ペルト: 弦楽合奏とベルのためのベンジャミン・ブリテンへの追悼歌


イーゴル・ウリアシュ(ピアノ)
ワシリー・ヴィランヌ(フルート)
エドゥアルド・コラチョフ(オーボエ)
セルゲイ・クラサビン(バスーン)
サウリュス・ソンデツキス指揮
リトアニア室内管弦楽団
(VICC-85)

「ピアノと弦楽合奏のための協奏曲」は、1979年に作曲された色々な様式が組み合わさった独特な作品。ピアノのソロで始まり、その後弦楽合奏となり、またピアノソロになる。まさに「ピアノと弦楽合奏のための協奏曲」です。

「イントロイトゥス、ピアノと室内オーケストラのための協奏曲」もまたシュニトケのように色々な様式が組み合わさっていて、どこが異なるかといえば、グバイドゥーリナはフルート、オーボエ、バスーンという音色と音域の異なる管楽器をソロで用い、それをピアノや弦楽合奏を伴奏にして際立たせているところでしょうか?弦楽とピアノの掛け合う部分もとても美しく仕上がっています。

「弦楽合奏とベルのためのベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」は、1976年にペルトが尊敬していた作曲家、ブリテンへの追悼のために書かれた曲で、その頃ペルトの音楽はそれ以前の作品とはスタイルを変えて単純化されましたが、この作品にもひとつの和音と音階だけで作品を構成する「ティンティナブリ様式」が使われています。弦楽のイ短調の和音からなんともいえない深い悲しみが感じられます。

ちなみに、ここに取り上げられた三人の作曲家はいずれも旧ソ連の出身ですが、シュニトケ(1934-1998)はドイツ系(ヴォルガ・ドイツ人自治共和国)、グバイドゥーリナ(1931- )はタタールスタン、ペルト(1935- )はエストニアと、それぞれ「非ロシア」の出自をもち、急進的な作風のために国内では白眼視され、さまざまな迫害を受けてきました。

クレーメル、ロジェストヴェンスキー、ロストロポーヴィチらの演奏家が熱心に作品を取り上げた結果、彼らの才能は1990年以降、世界的に知られるようになっていきます。このソンデツキスの演奏もそうした流れのなかに位置づけられると思います。なお、これら三人の作曲家は1980年代から90年代にかけて相次いで国外に出て、いずれもドイツを活動の拠点としています。

このたびのリトアニア室内管弦楽団の来日公演で指揮をするロベルタス・シャーヴェニカスもサンクト・ペテルブルク国立高等音楽院で合唱・指揮を学び卒業し、現在はリトアニア国立交響楽団(LNSO)の第二指揮者をしています。彼はまた、1997年、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの計らいで、フランスのエビアン・フェスティバルでのフィルハーモニー・デア・ナツィオネの指揮のために招待されました。またその翌年のエビアン・フェスティバルでは、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ・オーケストラを率いたロストポーヴィチのアシスタントも担当したことのある期待の新人です。

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by ciurlionis | 2009-04-07 23:59 | 音楽