ジョナス・メカス監督の新作映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』(2008)の上映会
今日は、昨年末にオランダのロッテルダム国際映画祭でも話題を呼んだリトアニア人映画監督ジョナス・メカスの新作映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』"Lithuania and the Collapse of the USSR"(2008)の上映会に行ってきました。
今年2009年は、リトアニアの国名の千年紀(1009-2009)であり、またリトアニアの首都であるヴィリニュスは欧州文化首都に指定されています。このたびの上映会もこの記念すべき年の文化交流企画のひとつとして、リトアニア大使館で行われました。おおよそ半日をかけた大プロジェクトでした。
2月21日のブログでもご紹介しましたが、この映画は4時間46分にもおよぶ超大作のため、字幕の問題などもあり、国内公開はまだ先になりそうとのこと。今回の上映会はリトアニア大使館の文化部の方の企画により、ごく少数の方を対象にして実現されました。
この映画はジョナス・メカスが、1989-1991年にかけて主にアメリカで放送されたニュース映像を自身のヴィデオ・カメラで撮影し編集した、リトアニアの独立回復に向けての軌跡を描いたドキュメンタリー映画です。
この映画の凄いところは「映画に登場するすべてのニュース映像を、メカス自身が観ながらヴィデオ・カメラに収録しているところ」だと思います。単なる録画ではなく、ニュースを観ながら撮影というところがメカスらしく、ニューヨークから祖国の行く末を見守っていたその頃の彼の生活ぶりが伺えます。途中、メカスの咳払いや、子どもがヴァイオリンを練習している音、電話の鳴る音などもニュースといっしょに聴こえてきました。
内容は、当時アメリカで放送されたリトアニアの再独立に関するニュース映像が時系列順に編集されたもので、主に当時のアメリカ大統領であったJ. W. ブッシュ(父)とソ連共産党のミハイル・ゴルバチョフ書記長の発言や、彼らのリトアニア訪問時の映像、またそれに対する有識者たちのコメント映像、そして当時のリトアニア最高会議議長のランズベルギス氏の演説の映像などでまとめられていました。
感想は、どんなに小国が危機に陥りヘルプを求めていようとも、「結局大国は大国のための利益を優先するのだ」ということを見せつけられた5時間でした。
一番印象に残ったのは、当時リトアニアの最高会議議長であったヴィータウタス・ランズベルギス氏の下記の言葉でした。
1991年9月、リトアニア、ラトヴィア、エストニアはソ連からの離脱・独立回復を正式に認められ、ふたたび共和国となりました。2004年にはNATO加盟につづき、EUにも加盟を果たしています。
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