『幻花』 辻井 喬著 (2007)


先日チュルリョーニスをキーワードにインターネットでいろいろと検索していたら辻井 喬さんの著書『幻花』にヒットした。

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辻井 喬とはご存じの通りセゾン(西武)グループのオーナーで、財団法人セゾン文化財団理事長でおられる堤清二氏のペンネームである。

辻井氏はこの著書のなかでリトアニア紀行 I, II, IIIを書いていて、その内容は多岐にわたっていて興味深い。

まずは、セゾン美術館が1986年にグルジアの画家ピロスマニの展覧会を手掛けたときのことから始まり、1992年にはリトアニアの画家・作曲家チュルリョーニスの展覧会を開催するに至った経緯などを、1991年にリトアニアを独立回復に導いた立役者でチュルリョーニス研究家であるランズベルギス氏について紹介しながら説明している。

辻井氏がリトアニアを訪れたのは日本のシンドラーと呼ばれている杉原千畝氏についての調査のためであったそうである。今年2009年5月に神奈川県民ホールの30周年記念にこの杉原千畝氏を主人公としたオペラ『愛の白夜』改訂決定版が上演されたが、そういえば台本は辻井氏によるものだった。

この著書のわずか40ページほどの文章のなかには、リトアニアの悲惨な過去を含めたリトアニアのエッセンスが凝縮されている。例えば、杉原千畝氏についてもそうであるが、ナチ占領時代のユダヤ人、ソ連時代の森の兄弟、シベリアに抑留されたリトアニア人、ニダに住んだことのあるドイツ人小説家トーマス・マン、リトアニア詩人のミウォシュ、十字架の丘、チュルリョーニスについてなどである。

リトアニアについて考えるとき、想像を絶するほどの困難な時代を経てきたこの国からは、人類が二度と繰り返してはならない多くのことを学ぶのである。


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by ciurlionis | 2009-08-28 23:59 |