チュルリョーニスのCD その3 交響詩「森の中で」・「海」 リトアニア国立交響楽団

チュルリョーニスのCDの3枚目は、1992年にキングレコードよりリリースされたチュルリョーニスの交響詩「森の中で」・「海」(オリジナル版・世界初録音)です。

指揮は、ギンタラス・リンキャヴィチュス。演奏はリトアニア国立交響楽団です。

このCDのすごいところは、交響詩「海」が「オリジナル版の世界初録音である」ということです。

約50年もの間ソ連邦の一国であったリトアニアですが、1990年3月に自ら再独立を宣言。1991年、クーデターの失敗を経て8月には正式にソ連邦からの独立が認められました。

その独立運動の旗手となった当時の国家元首が音楽学者でチュルリョーニス研究者のヴィータウタス・ランズベルギス氏でした。

このCDの録音はリトアニアをソ連邦からの再独立へと導いたランズベルギス氏自らの要請で実現しました。独立直後の混乱期にあったリトアニアで、それまではカットの多いバルシスによる改訂版しか演奏されたことのなかったチュルリョーニスの交響詩「海」のオリジナル版の録音がリトアニアのLITUANUSと日本のキングレコードの協力で行われたのです。

1992年3月には池袋にあったセゾン美術館でチュルリョーニスの絵画展が行われ、ランズベルギス氏も来日されて話題になりました。このCDのジャケットにある絵画はチュルリョーニスが描いたもので「思索」(Thoughts) といいます。独立回復後、初のCD制作に日本のレコード会社が協力・出資できたことは嬉しい事実です。その後、ピアノ作品集とリトアニア民謡曲集のCDもキングレコードよりリリースされました。

それにしても、チュルリューニスを専門とする音楽学者が初代国家元首になるなんて、ちょっと日本では想像もできないことですね。

チュルリョーニス:交響詩「森の中で」・「海」(オリジナル版・世界初録音)(KICC-76)

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リトアニア国立交響楽団の演奏は、透明感のある音色と一音一音大切に演奏する繊細さが特徴です。特に交響詩「森の中で」は、まるで森の中にいるような感覚になり、聴いていて心地いいです。

『チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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by ciurlionis | 2011-01-09 23:59 | 音楽