カテゴリ:美術( 64 )

丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「カンディンスキーと青騎士展」を観に行ってきました。

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企画力を感じさせる内容の充実した展覧会。

カンディンスキー、ミュンター、ヤウレンスキー、ヴェレフキン、マルク、マッケ、クレーなどが展示されていたのですが、特にカンディンスキーとマルクの作品は青騎士のグループのなかでも群を抜いて優れていると実感しました。構図、色彩感、筆のタッチなど、どれをとってみてもセンスの良さが光っているのです。

今日はたまたま「鑑賞者が少なめでゆっくり観られるといいな」と思って足を運んだのですが、思いもよらない驚くべき事実を知らされました。この展覧会のチラシにも採用されているカンディンスキーの《印象III(コンサート)》についてのエピソードです。

今から100年前の1911年1月2日の夜、カンディンスキーは、ミュンター、マルク、ヤウレンスキー、ヴェレフキンらとともに、シェーンベルクの楽曲が演奏されるコンサートに出かけ、その演奏会に感銘を受けたカンディンスキーが演奏会の翌日、つまりちょうど100年前の今日、1911年1月3日にこの《印象III(コンサート)》を描いたというのです。

キャプションを読んで、あまりの偶然にビックリして、絵の前でひとり茫然としてしまいました。

「青騎士」というとあまり知られていないので「何?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、カンディンスキーやマルクの代表作を間近に観ることができ、ミュンヘンの画家たちが世界に先駆けて未知の領域を切り開いた時代を実感できるまたとないチャンスですので、ぜひご覧になるようおすすめします。

会期は2011年2月6日(日)まで。

青騎士 (ニューベーシック) [単行本(ソフトカバー)] ハーヨ・デュヒティング (著)

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by ciurlionis | 2011-01-03 23:59 | 美術
みなさま

明けましておめでとうございます

昨年末は多忙のためブログ更新が滞っておりましたが、
新年よりまた少しずつ書き始めたいと思っておりますので
引き続きよろしくお願いいたします。

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アルブレヒト・デューラー作 「野うさぎ」 (1502)

現在、上野の国立西洋美術館では、このドイツ人画家アルブレヒト・デューラー (Albrecht Dürer, 1471 - 1528) の版画・素描展が開催中です。「野うさぎ」は展示されておりませんが、デューラーの版画は木版も銅版も質の高いものばかりで、その傑作の数々を一度に見られる良い機会ですので、おすすめです。

アルブレヒト・デューラー [単行本] エルンスト ヴィース (著), Ernst W. Wies (原著), 相沢 和子 (翻訳)

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by ciurlionis | 2011-01-01 11:11 | 美術

世田谷美術館で明日(10月11日)まで開催のヴィンタートゥール・コレクション展を観にいってきました。ヴィンタートゥールはスイス東北部の都市。チューリヒに近いそうですが、残念ながらまだ訪れたことはありません。

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ゴッホ、アンリ・ルソー、クレー、カンディンスキー、ヴァロットンなどの珍しい作品が日本初公開されていました。

展覧会のチラシにも採用されているルソー《赤ん坊のお祝い!》が奇妙でこの画家についてもっと知りたくなりました。
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雨上がりの公園をゆっくりお散歩して英気を養いました。

この展覧会はこの後、神戸、長崎と巡回するそうです。

おすすめです。

後日下記の本を読んでみました。アンリ・ルソーの生涯がわかりやすく書かれていて、勉強になりました。アンリ・ルソーに対する考え方が変わりました。

アンリ・ルソー 楽園の謎 (平凡社ライブラリー)

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by ciurlionis | 2010-10-10 23:59 | 美術

国立新美術館で行われた「ゴッホ展」のオープニングに伺いました。

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今年はゴッホの没後120周年にあたるとのこと。展覧会チラシを読んで初めて知ったのでした。

今回の展覧会はオランダのファン・ゴッホ美術館とクレラー=ミュラー美術館所蔵のゴッホを中心に構成されていました。

学生の頃にアムステルダムのファン・ゴッホ美術館を訪れてすべてのコレクションを観て回るのに2~3時間くらいかかった記憶があります。ここの美術館は、ゴッホが集めたという浮世絵もたくさん所蔵しているのです。

今回のゴッホ展では、楽しみにしていた《カフェにて(「ル・タンブラン」のアゴスティーナ・セガトーリ)》や《ゴーギャンの椅子》、《種まく人》、《アイリス》を間近に見られて嬉しかったのですが、何よりもゴッホ以外の普段なかなか観られない傑作が揃っていたのが印象的でした。

特に、ピサロ《虹》、ロートレック《テーブルの若い女(白粉)》、スーラ《オンフルールの港の入口》には目を見張るものがありました。おすすめです。

会期は、2010年12月20日(月)まで。

先日は、チュルリョーニスの音楽に関する記事で残念に思った芸術新潮10月号ですが、第一特集は「ゴッホの手紙」。

こちらの特集はさすが芸術新潮だけあって、手紙の和訳、デッサン入りのゴッホ直筆の手紙の写真などが掲載されていて熱のこもったもので読みごたえがありました。

ゴッホに興味をもって芸術新潮を購入した方にもチュルリョーニスのCDを聴いていただけたら嬉しいなと思いました。

芸術新潮 2010年 10月号 [雑誌]

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by ciurlionis | 2010-09-30 23:59 | 美術

オーチャードホールでの演奏会のあと、そのまま階下のBunkamura ザ・ミュージアムへ。

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「フランダースの犬」ならぬ「フランダースの光」展。要するに「フランドル地方の絵画展」です。

精緻に描かれた絵画の数々、フランドル地方の光に照らされた木々の優しい緑色が印象的で、以前3度ほど訪れたベネルクス三国の自然や、レンタ・サイクルで走り回った農村の風景を思い出したりしていました。

この展覧会へ来て良かったことのひとつに、大原孫三郎の後援によりヨーロッパへ留学して美術を学び、その後倉敷にある大原美術館の礎となったコレクションを収集した児島虎次郎(1881-1929)の足跡をしることができたことがあげられます。

児島虎次郎は、1908年に大原孫三郎の後援によりパリへ渡り、その後パリ郊外の田舎町グレで創作活動を行いました。1909年には友人の画家太田喜二郎に呼ばれ、ベルギーのゲント美術アカデミー(ヘント)で学ぶことになり、画家のエミール・クラウスに師事しました。1912年4月、児島はゲント美術アカデミーを首席で卒業。ゲント市で開催された展覧会に絵画を出品し、金賞を受賞。同年、校長の紹介で画家のアマン=ジャンとの知遇を得ました。アマン=ジャンには自身の絵画への意見を求めたり、また大原コレクションの第一号となった絵画「髪」を購入したりしています。

今回の展覧会にも、ゲント美術館所蔵の児島虎次郎作《黒い帽子の女》が出品されていました。この作品がゲント市の展覧会で金賞を受賞したものかは定かではないのですが、今でも児島の絵画がゲントの美術館に所蔵されていることを知り、嬉しい気持ちになりました。児島の師エミール・クラウスの作品も出品されていました。もちろん初めて観ました。

倉敷へは今年5月に足を運び、アイビースクエア内で児島本人の絵画も堪能し、また大原美術館では大原氏に協力して集めたという質の高い芸術品の数々を観てきたばかりでしたので、感激もひとしおでした。

渋谷の東急7Fに誕生した大型書店「ジュンク堂x丸善」は、なかなかの品ぞろえでした。長い通路の両脇に分かりやすく本が並べられていて、目的の本をすぐに見つけることができました。通路がまっすぐで長いのでこどもがかけっこしていましたが。。これからは渋谷でも退屈しないで済みそうです。

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by ciurlionis | 2010-09-21 00:01 | 美術

チュルリョーニスに関する英語論文を執筆するにあたって過去に日本語で執筆されたチュルリョーニス関連の記事を読んでいる。

先日、国立国会図書館で日本に初めてチュルリョーニスを紹介した加藤氏の雑誌記事を閲覧しに行き、チュルリョーニスについて色々と調べていたら沼野充義先生がポーラ文化研究所発行の雑誌『IS』に1997年~2000年にわたって連載されていた「レーリッヒとロシア文化の地平」というものが目にとまった。おかげで日本ではあまり知られていない画家・思想家のニコライ・レーリヒ(レーリッヒまたは、リョーリフとも)について多くを知ることができて有意義だった。

レーリヒはストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』の舞台美術で知られるが、ヒマラヤ山岳地帯を題材に数多くの風景画を描いている。チュルリョーニスと同時代人で、風景のなかに底知れない神秘を見出すところが共通しているように思う。

沼野先生の連載では「チュルリョーニス・サリヤン・ピロスマニ」と題した回にチュルリョーニスが登場する。レーリヒと関連づけながら同時代のリトアニア、アルメニア、グルジアの画家が紹介されていて興味深かった。

後日、レーリヒやサリヤンなどの絵画を観たくなってロシア絵画やバレエ・リュス関連の画集を広げてみたら、ロシアの芸術家グループ「芸術世界」«Мир искусства»の創始者のひとり、アレクサンドル・ベヌア(ブノワ)の息子、ニコライ・ベヌア(ブノワ)がチュルリョーニスに影響を受けて描いた絵画が数点載っていた。なかでも下記の "Fantasy in the Spirit of Čiurlionis" という作品はチュルリョーニスが好んだモティーフである宇宙、月、太陽、お城、ピラミッドなどの神話的断片がいくつも散りばめられていて面白い。チュルリョーニスの絵画を知るひとなら、楽しんでもらえるかも知れない。
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この絵画は昨年2009年にヴィリニュス・アート・ギャラリーで行われたチュルリョーニス展でも展示されていて現物を観ていたのだが、紹介するのを忘れていたのでこの場で紹介しておくことにした。

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チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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リトアニアを象徴する作曲家・画家チュルリョーニスの伝記が発売になりました!
ピアノ曲の楽譜、詳細なディスコグラフィー、音楽作品リスト、参考文献目録も収録!
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by ciurlionis | 2010-09-11 00:02 | 美術

川村記念美術館で今日から開催の「開館20周年記念展 アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン」へ行ってきた。

バーネット・ニューマン (1905-1970) は、ニューヨーク生まれのロシア系ユダヤ人。単色の巨大なカンバスに「ジップ」と呼ばれる垂直線を配する作品で良く知られている。

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佐倉駅から美術館のバスにゆられること30分ほどで美術館に到着。途中眼前に広がる田んぼは収穫の時期を迎えていた。5月に訪れた時は青々としていたのに、時が経つのは早いものだ。たまに時間を掛けてのんびりとこの美術館を訪れるのが何よりの楽しみ。都内ほど観客は多くないし、大自然に囲まれた庭園では夏の虫の大合唱も聴くことができて日本の夏を一日で満喫した。今日も35℃を超えた猛暑日だったようだが、不思議と暑さを感じなかった。

今日は14時からニューマン研究の第一人者、イヴ=アラン・ボワ氏(プリンストン高等研究院歴史研究科教授)によるレクチャー「ニューマンにおけるユダヤ性」があったのだ。

14時から2時間の予定だったレクチャーは大幅に時間が延びて終了したのは17時近くだった。。シンプルなニューマン作品をユダヤの精神と関連付けて細部にわたって説明を聴くことができてとても勉強になった反面、ニューマンは本当にここまで深くユダヤ的なるものを自作に盛り込んだのか? と疑問を抱いたりもした。しかし総じてとても充実した実り多きレクチャーだった。

展覧会の方は、少々展示数が少なめで残念に思ったのは否めないが、ニューマンの作品は現存する点数が少ないうえに「高額」と聞いているので、これだけの作品をまとめて見られただけでも幸せと思うことにした。いつものニューマン・ルームではない部屋で《アンナの光》を観て、外光から遮断された天井の高い部屋の方がこの作品には適しているように感じた。このニューマン最大の作品にはその作品を包み込むだけの広大な壁が必要なのだ。また、赤褐色の作品《存在せよ I》と《18の詩篇》の一部からはマーク・ロスコを連想した。同時代の画家同士、影響し合っていたのかも知れない。このふたり、没年まで一緒なのだ。この美術館にはロスコ・ルームがあるので、そちらもぜひ観てみてほしい。

会期は、2010年12月12日(日)まで。9月17日までは「早期来館割引クーポン」が美術館のホームページにてダウンロードできるので、ぜひ訪れてみていただきたい。

展覧会図録も装丁がステキで、見ごたえがありました。おすすめです。

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by ciurlionis | 2010-09-04 21:59 | 美術

六本木方面に用事があったので、マン・レイ展にも立ち寄ってみた。

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マン・レイの写真のセンスには特別なものを感じた。写真の域を脱しており、まさに芸術作品としての写真を提示された気がした。

2008年にロンドンのテート・モダンで「デュシャン、マン・レイ、ピカビア展」を観ていて、こちらもその時の印象が強烈だったので、今回のマン・レイ展は代表作が少なくて残念な印象が残った。ロンドンの展覧会の一部をHPで観られるのでご興味があればご覧ください。(部屋番号をクリックすると作品が観られます。)
Tate Modern| Past Exhibitions | Duchamp, Man Ray, Picabia

音楽好きなので、マン・レイが撮ったストラヴィンスキーやサティの写真があって嬉しかった。マン・レイの撮ったポートレートはどれも被写体の本質を鮮やかに捉えているのが素晴らしいと思う。

会期は2010年9月13日(月)まで。

先日、友人が下記の書籍を勧めてくれた。ダダに興味のある方はぜひどうぞ。

ムッシュー・アンチピリンの宣言―ダダ宣言集 (光文社古典新訳文庫)

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また、2008年にロンドンのテート・モダンで行われた展覧会の図録は下記のようなものでした。なかなか充実した内容で見ごたえがあります。
Duchamp, Man Ray, Picabia

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by ciurlionis | 2010-08-20 23:58 | 美術

遅ればせながら8月13日の出来事を書いている。

帰国してまだ二日、時差ぼけで頭がぐるぐるしている。

16時に麻布で約束があるので、その前にどこか展覧会へ行こうと思い立って上野の東京藝術大学大学美術館へ。

そこで「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール──ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~」というものを観てきた。

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ポンピドゥー・センターの所蔵するシャガールはこんなものだったか? 以前訪れたフランスのニースにあるシャガール美術館での記憶が交錯しているのかも知れないが、フランスでのシャガール体験はもっと強烈だったと記憶していたので、今回の展覧会はシャガールに関しては期待以下のものだった。そんななかでも《ロシアとロバとその他のものに》と《立体派の風景》には目を見張るものがあり、じっくりと鑑賞したのは言うまでもないが。

とりわけ自分が足を運んで良かったと思ったことのひとつに、ゴンチャローヴァ(ゴンチャローワ)の《収穫物を運ぶ女たち》(連作「葡萄の収穫」9面のうちの1面)をみられたこと、またラリオーノフの《タトリンの肖像》を観られたことが挙げられる。

ゴンチャローヴァの単純な構図のなかに観られるあふれるような躍動感が印象的。このような作品はなかなか描けるものではないし、日本で観る機会などそうあることではないので、観ることができただけでも有り難かった。

リトアニア出身のリプシッツの彫刻《ギターを持つ船乗り》もあって嬉しかった。

会期は、2010年10月11日(祝)まで。

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by ciurlionis | 2010-08-13 23:59 | 美術

昨日上野の国立西洋美術館のカポディモンテ美術館展でお知り合いの学芸員の方に教えて頂いたのですが、パルミジャニーノの《貴婦人の肖像(アンテア)》が、ジョゼフ・コーネルの箱の作品《無題(ラ・ベラ [パルミジャニーノ] )》にも採用されているのです。

しかもそのコーネルの作品も現在、川村記念美術館で開催中の企画展「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」で展示中であるとのこと。

そういえば、展覧会のチラシに載っていたのがその作品でした。

二つの展覧会のチラシを比べてみるとこうなります。
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ふたりのアンテアが時を同じくして日本国内で観られるというのはまたとない珍しい機会であることは間違いないでしょう。

これを良い機会としてもうひとつ以前から気になっていたことを調べてみました。

ジョゼフ・コーネルの箱の作品《無題(星ホテル)》などに採用されている「ほほ笑んでいる黄色い太陽のマークについて」です。
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そして、そのマークが何から採られたものなのかを突き止めました。

Lindsay Blair (著) の研究書 "Joseph Cornell's Vision of Spiritual Order" (1998) によれば、この太陽印は、その当時コーネルの自宅近くのデリカテッセンで販売されていた "IL SOLE ANTIPASTO" の缶の蓋から採られていたとのこと。
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以前からとても気になっていたので、謎が解けてスッキリしました。

これらの事実を踏まえてコーネルの箱作品を改めて鑑賞してみてはいかがでしょうか?

川村記念美術館で開催中の企画展「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」は、7月19日(祝)までです。

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by ciurlionis | 2010-06-26 23:59 | 美術