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初めてラトヴィアを訪れたのは確か2004年の9月だったと思う。バルト三国がEU加盟を果たした直後だった。その時私はまだロンドン留学中で、研究滞在されていた日本人の先生にお会いするためにリガを訪れたのであった。

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その時はガイドブックのようなものを一切持っていなかったので少々不安に思いつつも、アルヒーフに行ってくるという先生と別れてひとりリガの街を歩いてみた。そこには、大きな生鮮市場があったり、ユーゲントシュティルの建築群(映画監督のエイゼンシュテインの父による建築物)があったり、ワーグナーが弾いたといわれるパイプオルガンがある大聖堂があったりと、初めて訪れたリガは様々な文化・芸術の集合体に思えた。そして最後に訪れたのが「占領博物館」。政治犯として逮捕された人々がどのような生活を強いられたのかが展示されていた。

あちこち歩いてみたもののまだ約束の時間には早かったので、ラトヴィアの民族音楽のCDでも買ってみようとCD店に立ち寄った。そこで、CD屋のお姉さんが勧めてくれた民族楽器による音楽CDや、ラトヴィアの作曲家によるCDを数枚購入したのだった。そのなかにペーテリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks, 1946-)のCDもあった。

なぜ突然こんなことを書き始めたのかというと、2009年5月8日(金) 19:00~に東京シティ・フィルが東京オペラシティ・コンサートホールでこのヴァスクス作曲の『弦楽のためのカンタービレ』(1979)を演奏するというので、久しぶりにヴァスクスのCDを聴き、ラトヴィアのことを思い出していたからである。

いずれも今はなきConifer Classicsというレコード会社からリリースされたもので、その当時リガで購入したのは、"message""chamber music"の2枚。そして先週たまたま立ち寄った新宿のCD屋さんで3枚目の"cello concerto" (リトアニア人チェリストのゲリンガスによる演奏)を発見!もう一生手に入ることはないだろうと思っていた一枚だったのでとても嬉しかった。

"message"
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"chamber music"
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"cello concerto"

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そして今日、"message"のライナーノーツを読んでいたら4月1日のブログでご紹介したポドニエクス監督のドキュメンタリーについて触れられているではないか!これら3枚のCDをConifer ClassicsからリリースしたプロデューサーのJohn Kehoe氏によるノーツには、1991年1月にリガとヴィリニュスで起こった惨事のことや、ユリス・ポドニエクス監督制作のドキュメンタリー映画のこと、また彼の親友であった二人のカメラマン、アンドリス・スラピンスとグビード・ズバイグスネがその一連の惨事で負傷し亡くなったことが記されていた。またKohoe氏はちょうどその頃、ラトヴィア人ハーフで指揮者のクリシュス・ルスマニスによるBBC Radio 3のためのバルト三国の音楽のプログラムを聴いて、多くの新事実を見出した。その後、すぐにルスマニス氏に会いスコアを見せてもらい、録音も聴かせてもらったそうだ。話をしていくうちに、そのルスマニス氏がポドニエクス監督のドキュメンタリーもプロデュースしていたという事実も知ることとなった。その後Kohoe氏はルスマニス氏とラトヴィアに渡り、30人ものラトヴィア人作曲家と出会うことになった。そこで、彼の耳に留まったのがヴァスクスだったのである。

ヴァスクスについてはまた後日ゆっくりと紹介させていただくとして、今日はこの代表的なCD “message”から、5月8日に演奏される予定の”Cantabile for string orchestra (1979)とヴァスクスの代表作である”Musica dolorosa (1983)”の2曲を紹介しておきたい。

“Cantabile”はヴァスクスがピアノの白鍵しか使わずに作曲した弦楽のための作品で、「この世界がいかに美しく調和のとれたものであるかをこの8分間で伝えたかった」とのこと。しばしばパターン化された偶然性のパッセージやミニマリズム的なフレーズも聴こえるが、決して単調ではなく、絶え間なく奏される低音の上で、サイレンのような弦楽器のグリッサンドや突然のピッチの降下などが起こり、とても斬新である。ヴァスクスによれば、「音楽とは感情に基づく芸術で、もしそこに感情がなければ芸術もない。」とのことである。

“Musica Dolorosa”は、ヴァスクスの最も個人的で情熱的な作品である。この作品はこれが書かれる少し前に亡くなったお姉さん(妹さん)に捧げられた。この音楽はとてもメロディックな音楽と言いたいが、ヴァスクスはこれをメロディーとは呼ばず、自分が作曲するにつれて成長する主題の粒で、作品の創作のために積み上げているレンガのようなものであるとしている。この作品が書かれたのは、個人的に悲しい時期であったばかりではなく、ラトヴィアの政治的状況がもっとも厳しい時期でもあった。「この作品は私のもっとも悲劇的な作品であり、そこにオプティミズムはなく、希望もなく、あるのは痛みだけである。」と。

最近はRCAから同CDが再リリースされていますので、ご興味のある方はぜひどうぞ。


"message"
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by ciurlionis | 2009-04-28 23:59 | 音楽

2日間連続で渋谷のUPLINKで開催中の「ウクライナ映画祭2009」に通いました。

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昨日25日には、キラ・ムラトヴァ監督の2作品を鑑賞しました。

『調律師』(2004)
『ダミー』(2007)


いずれもお金絡みの現実的な映画でした。『調律師』は、貧しい調律師が憧れの女性のためにピアノの調律で訪れていた家のマダムから大金をだまし取る話なのですが、途中、その調律師がウクライナ人作曲家のシルヴェストロフの甘美なピアノ曲を弾いていたのが印象的でした。

このSilvestrovのピアノ曲Kitsch-Musik für Fortepianoは、先日このブログでもご紹介していたCDに収録されています。

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今日26日には下記の2作品を鑑賞。

オクサナ・バイラック監督 『アヴローラ』(2006)
ユーリー・カラー監督 『カラリョフ』(2007)

いずれも内容の濃い作品。

今日4月26日はチェルノブイリ原子力発電所で原発事故が起こった日で、1986年に事故が起きてからもう23年にもなるとのこと。一つめの作品『アヴローラ』は、バレエダンサーを夢見る孤児院出身の少女アヴローラが、父のように慕っていた男性を訪ねてチェルノブイリ原子力発電所に行った際に事故に遭って被曝し、治療のために移送されたアメリカの病院で憧れのバレエダンサーと出会い、交流を深めるという話。少女は重度の被曝者であるにも関わらず気丈に振る舞い、彼女の言葉は自暴自棄になっていたバレエダンサーの心をも動かしたのでした。しかし、少女が手術のために長い髪を切り落とすシーンなど、あまりにも悲しい場面が多く、涙が止まりませんでした。。

『カラリョフ』も、旧ソ連時代が舞台で、火星まで飛ぶことのできるロケットを研究をしていた設計者のセルゲイ・カラリョフが、ある日突然誰かの陰謀により逮捕されて人生が一変してしまうという話でした。少々暴力的なシーンもありましたが、ラストシーンはいたって穏やかで、彼の新たなる人生を予感させるものでした。


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by ciurlionis | 2009-04-26 23:59 | 映画

昨年、NHKで放送されたドキュメンタリー番組ETV特集『アンジェイ・ワイダ-祖国ポーランドを撮り続けた男』を観て以来、彼の映画作品に興味を持ち、『灰とダイヤモンド』や『地下水道』などを観ましたが、先日途中まで観たきりそのままだったアンジェイ・ワイダ監督が2007年に制作した映画『カチン(カティン)』 "Katyn"を観ました。

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この映画は、2008年のアカデミー賞外国語映画部門にノミネートされた作品で、第二次大戦中に、ソ連が約一万五千人ものポーランド将校らを虐殺した「カチン(カティン)の森事件」が題材となっていて、ワイダ監督が、実際にポーランド軍将校であった父と、その父を生涯待ち続けた母の姿を描いた作品です。

あまりにも悲惨な内容にとても強い衝撃を受け、当分立ち直れそうもありません。ご興味のある方はぜひご覧になってください。

追記: この映画を観て、ショスタコーヴィチ作曲の交響曲第13番《バビ・ヤール》を思い出しました。「バビ・ヤールには墓碑はない。」と。

追記2: 2009年12月5日より「カティンの森」というタイトルで日本の岩波ホールでも公開されています。

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by ciurlionis | 2009-04-23 23:59 | 映画

先日、ジョナス・メカス監督の映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』を観たことがきっかけで、当時の周辺国の様子を知りたくなり、ヴォルフガング・ベッカー監督の『グッバイ、レーニン!』 [DVD]を地元の公共図書館で借りてきて観ました。

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舞台となっているのは1989年10月から1990年10月の東ドイツで、西ドイツに亡命した父と、その反動でますます社会主義に邁進する母をもつ青年アレックスが、ある日、東ドイツの改革を求めるデモに参加しているところを母親に発見されてしまい、母はその場で倒れこんでしまいます。母が8ヶ月間昏睡状態となっている間に、東ドイツではベルリンの壁が崩壊し、西側の資本主義の波が着実に押し寄せていたのでした。

母が昏睡状態から目覚めたとき、アレックスは母にベルリンの壁が崩壊したことを悟られないように自分でテレビニュースを作り上げたり、周囲の人々に演技を頼んだりと色々な策を講じます。その間にも、ワールドカップ、通貨統合、東西ドイツ統一がなされるのですが、最後まで母はそれに気付くことなく息を引き取るのでした。

映画自体は母を想うアレックスの微笑ましいシーンが続いているのですが、舞台となっているのはベルリンの壁が崩壊した当時のベルリンですから、当時のニュース映像などもところどころに採用されていて勉強になりました。特に印象に残ったのは、レーニン像がヘリコプターによって釣りあげられて運び去られるシーンでした。

自分がベルリンを訪れたのは1997年と2002年の2回ですが、そのわずか5年の間でも、あったはずのビルが区画ごとなくなっていたり、何もなかった場所にガラス張りの高層ビルが建てられていたりと、ベルリンの街は激変していたのでした。今行ったらもっと変わっていることでしょう。その頃のことを何となく思い出しました。

この映画はいわゆる戦争映画と違って怖くありませんし、ふつうに映画としても楽しめるのでおすすめです。

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by ciurlionis | 2009-04-20 23:59 | 映画

19:00のNHKニュースを見ていたら、スコットランド出身のおばさんシンガー、スーザン・ボイルさんが紹介されていました。

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もうすぐ48歳になるという彼女は、オーディション番組"Britain's Got Talent"に出演して自慢の歌声を披露。風貌は全く普通のおばさんなのに、彼女から出てきた歌声はなんともずばらしい美声!このギャップの凄さが話題になったようです。「ひとは見た目で判断してはいけない」と改めて思いました。

この模様がYou Tubeで紹介されているのですが、ここ一週間の視聴回数が5000万回を超えたとか。

ぜひ一度ご覧いただきたい。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」より《夢破れて》 by スーザン・ボイル─Susan Boyle

日本語字幕つきはこちら(字幕・訳詞byこあらオヤヂさん)

きっと音楽の道を志す多くの人々に夢を与えてくれることでしょう。

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by ciurlionis | 2009-04-19 21:52 | 音楽

今日は、昨年末にオランダのロッテルダム国際映画祭でも話題を呼んだリトアニア人映画監督ジョナス・メカスの新作映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』"Lithuania and the Collapse of the USSR"(2008)の上映会に行ってきました。

今年2009年は、リトアニアの国名の千年紀(1009-2009)であり、またリトアニアの首都であるヴィリニュスは欧州文化首都に指定されています。このたびの上映会もこの記念すべき年の文化交流企画のひとつとして、リトアニア大使館で行われました。おおよそ半日をかけた大プロジェクトでした。

2月21日のブログでもご紹介しましたが、この映画は4時間46分にもおよぶ超大作のため、字幕の問題などもあり、国内公開はまだ先になりそうとのこと。今回の上映会はリトアニア大使館の文化部の方の企画により、ごく少数の方を対象にして実現されました。

この映画はジョナス・メカスが、1989-1991年にかけて主にアメリカで放送されたニュース映像を自身のヴィデオ・カメラで撮影し編集した、リトアニアの独立回復に向けての軌跡を描いたドキュメンタリー映画です。

この映画の凄いところは「映画に登場するすべてのニュース映像を、メカス自身が観ながらヴィデオ・カメラに収録しているところ」だと思います。単なる録画ではなく、ニュースを観ながら撮影というところがメカスらしく、ニューヨークから祖国の行く末を見守っていたその頃の彼の生活ぶりが伺えます。途中、メカスの咳払いや、子どもがヴァイオリンを練習している音、電話の鳴る音などもニュースといっしょに聴こえてきました。

内容は、当時アメリカで放送されたリトアニアの再独立に関するニュース映像が時系列順に編集されたもので、主に当時のアメリカ大統領であったJ. W. ブッシュ(父)とソ連共産党のミハイル・ゴルバチョフ書記長の発言や、彼らのリトアニア訪問時の映像、またそれに対する有識者たちのコメント映像、そして当時のリトアニア最高会議議長のランズベルギス氏の演説の映像などでまとめられていました。

感想は、どんなに小国が危機に陥りヘルプを求めていようとも、「結局大国は大国のための利益を優先するのだ」ということを見せつけられた5時間でした。

一番印象に残ったのは、当時リトアニアの最高会議議長であったヴィータウタス・ランズベルギス氏の下記の言葉でした。

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1991年9月、リトアニア、ラトヴィア、エストニアはソ連からの離脱・独立回復を正式に認められ、ふたたび共和国となりました。2004年にはNATO加盟につづき、EUにも加盟を果たしています。

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by ciurlionis | 2009-04-18 23:59 | 映画

たまたま一時アルメニア人作曲家であるコミタスやマンスリアンに興味を持って色々と聴いていたのですが、その時に出会ったこのCD"Pourquoi je suis si sentimental"に先日からご紹介しているラトヴィア人作曲家であるペレーツィスの作品も入っていたので改めて聴いてみました。先日のCDと同じアレクセイ・リュビモフによる演奏です。彼のピアノは少々荒い面もありますが、喜怒哀楽が素直に音に顕れていて良かったです。

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このCDに収録されているのは下記の作品。

1. Rabinovitch: Musique Triste, Parfois Tragique
2. Pärt: Var Zur Gesundung Von Arinuschka
3. Pärt: Für Alina
4. Pelēcis: Jaungada Mūzika (Neujahrsmusik)
5. Mansurian: Nostalgia
6. Silvestrov: Kitsch-Musik für Fortepiano I. Allegro Vivavce
7. Silvestrov: Kitsch-Musik für Fortepiano II. Moderato
8. Silvestrov: Kitsch-Musik für Fortepiano III. Allegretto
9. Silvestrov: Kitsch-Musik für Fortepiano IV. Moderato
10. Silvestrov: Kitsch-Musik für Fortepiano V. Allegretto
11. Rabinovich: Pourquoi Je suis si sentimental
(BIS-CD-702)

アレクサンドル・ラビノヴィッチは1945年にアゼルバイシャンのバク生まれの作曲家で、モスクワ音楽院でカバレフスキーとA. ピルーモフから作曲法を学び、ピアノをN. フィッシュマンに師事。彼は、モーツァルトのピアノソナタ・イ短調を彷彿とさせる作品や、トリスタン・コードで終わる"Happy End"という作品のスキャンダラスな演奏で一時話題となりました。また旧ソ連邦のなかではいち早くシュトックハウゼン、アイヴズ、メシアンに着目し紹介しました。現在はブリュッセル在住。このCDに収録されている"Musique Triste"は、シューベルトの即興曲Op. 90 No. 4が基になっており、メランコリックな曲です。また、最終トラックの"Pourquoi je suis si sentimental"は作曲家によればそれぞれの作品は、「個人の清めの式」や「内なる暴力の悪魔祓いの儀式」の音楽であるとのこと。

アルヴォ・ペルトは1935年生まれのエストニアの作曲家。1963年までタリン音楽院でヘイノ・エレルに作曲法を学んだ。1958-67年までエストニア・ラジオのサウンドエンジニアをしていた。1980年にウィーンに移住。現在はベルリン在住。ここに収録されている2曲は、いずれも家庭で弾かれるための小品で、シンプルで透明感のある、2声からなる原始的かつ幻想的な雰囲気を持った作品です。

そして、ゲオルス・ペレーツィスは、1947年生まれのラトヴィアの作曲家で、ここに収録されている曲は「新年のための音楽」で1970年代のロックやビート・ミュージックを想起させるとのこと。ジャズのようなシンコペーションとバルトークのようなハーモニーが特徴となっています。

ティグラン・マンスリアンは、1939年生まれのアルメニアの作曲家で、彼によれば、彼の作品はショパン、ドビュッシー、ヴェーベルンから影響を受けているそうです。ここでの収録曲は何とも神秘的なフレーズと和音が静寂とともに効果的に使用されています。

最後に、ヴァレンティン・シルヴェストロフは1937年ウクライナのキエフに生まれ、初めは独学で音楽を勉強し、後にキエフ音楽院でボリス・リャトシンスキーに学んでいます。ここで収録されている「キッチュな音楽」はシューマンや、ショパン、チャイコフスキーを彷彿とさせる作品ではありますが、作曲家によれば"Kitsch"という単語の意味は、皮肉な意味よりも哀愁の意味を持っているとのこと。ロマンティックで優しい音楽です。

いずれも個性派ぞろいで、興味深いCDですのでぜひ聴いてみてください。

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by ciurlionis | 2009-04-17 23:59 | 音楽

今日は、外苑前駅から徒歩5分ほどのところにあるワタリウム美術館で開催中の「歴史の天使」展に行ってきました。5月10日までの会期中、チケットを見せれば何回でも入場可能とのこと。とても良い制度だと思いました。

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この展覧会では、20名の写真作家による作品が展示されていて、写真芸術の可能性について改めて考えさせられ、たくさんの発見がありました。

特に、マン・レイについては、昨年5月にロンドンを訪れた際にテート・モダンで開催されていた「デュシャン、マン・レイ、ピカビア展」で色々と見てはいましたが、ダダやシュルレアリスムの中心人物であったマン・レイや、ルネ・マグリットによる写真作品からはどこかシュルレアリスム絵画に通じるものを感じました。また、ジョエル=ピーター・ウィトキンによる作品は、人体のありとあらゆる可能性を写真のなかに詰め込んでいて、ちょっとグロテスクではありましたが不思議な感じを受けました。ロバート・メイプルソープによる一連の「花」の写真は、生きた花の美しさが細部にわたるまで完璧に表現してあって目を見張りました。ピーター・ビアードによる動物の写真、アンディー・ウォーホルによる人物写真などもあって、ちょこっと立ち寄ってみるにはちょうど良い規模で発見の多い写真展でした。

ワタリウム美術館は建物もおしゃれですよね。
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1Fのショップではおしゃれな外国の雑貨が売られていて、見るだけでも楽しめました。

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by ciurlionis | 2009-04-16 23:59 | 美術

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「忘れえぬロシア」展と夜19:30から行われた東京外国語大学学長の亀山郁夫氏による講演会に行ってきました。

昨年、同ミュージアムでロシア・アヴァンギャルド展を観ていたので、これらふたつのまったく趣の異なった展覧会が同じロシアというひとつの国からやってきたものであるということが信じられませんでした。ロシアにおける美術は19世紀後半から20世紀初頭にかけて激変したのだと、ふと考えさせられたのでした。

今回の展覧会は、国立トレチャコフ美術館所蔵の絵画より19世紀後半の写実絵画約70点が出品されていました。

印象に残った絵画は、ワシーリー・ポレーノフ《モスクワの中庭》、ワシーリー・ヴェレシャーギン《キルギスのきらびやかな鷹匠》、イリヤ・レーピン《コンスタンチン・コンスタンチーノヴィチ大公の肖像》。

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黄金の玉ねぎ型の教会の尖塔や、キルギスの民族衣装らしき服を着た鷹匠、チャイコフスキーと親交のあったコンスタンチン・コンスタンチーノヴィチ大公の肖像画からはロシアらしさを感じることができて有意義でした。また、数ある絵画のなかでもロシア絵画の巨匠、イリヤ・レーピンによる絵画はいずれも群を抜いて優れていて目を見張りました。

夜19:30から行われた亀山郁夫氏による講演会は、わたしの「忘れえぬロシア」というもので、参加者は30名ほど。亀山先生もロシア絵画の専門家ではなく、ひとりのファンとしてお話しをされました。

亀山先生にとってのロシアの精神性と自然について、ベルジャーエフやヴェイドレによる定義が紹介され、また『カラマーゾフの兄弟』からも一節が取り上げられ、「神が宿る自然」について説明されました。また、ロシアの風景について、クインジーの《ヴァラーム島にて》という絵画がまさに先生が経験された風景であるとのこと。講演会が行われた部屋にその絵画が展示してあったので、実際に作品をみながらお話しを聴くことができました。

私も注目していた三人のロシアの文豪の肖像画についても触れられていました。レーピン《文豪ツルゲーネフの肖像》(1874)、ゲー《文豪トルストイの肖像》(1884)、ブラース《文豪チェーホフの肖像》(1898)は、おおよそ10年の間隔を経て3人の画家によって描かれた彼らはいずれも民衆出身で当時のヒーローでありました。

また、最近はドストエフスキーの『罪と罰』を翻訳されている亀山先生らしく、ドストエフスキーとクラムスコイの関係についても触れられていました。クラムスコイはドストエフスキーのデスマスク(1881)を描いた画家でもありますが、彼の描いた《瞑想する人》(1876)をドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』に登場するスメルジャコフに重ね合わせているとのこと。これはとても興味深いお話しでした。《瞑想する人》は今回の展覧会には出品されていませんが、次回モスクワ訪問の際にはぜひ観てみたいと思います。

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さらに亀山先生はひとつ大きな発見をされたとのこと。それは、この展覧会のチラシのメイン作品にもなっているクラムスコイの《忘れえぬ女》(見知らぬ女)のモデルは「涙目ではないか?」ということでした。良く見てみるとそう見えなくもないと思いました。先生がおっしゃるにはこのモデルはクラムスコイの知人で憧れの女性であるマトリョーナ・サヴィシナではないか?とのことでした。

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最後に、亀山先生が翻訳された『罪と罰』の文庫本が5人ほどの希望者に配られ、講演会はほのぼのとした雰囲気のなか終えられました。

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by ciurlionis | 2009-04-15 23:59 | 美術

ロンドンで活躍中のソプラノ歌手の友人が一時帰国しているので、仕事の帰りに渋谷で食事をしました。彼女とはロンドン留学時代の2年半くらいを一緒に過ごし、また昨年ロンドンを訪問したときも大変お世話になりました。今日は久しぶりにロンドンの話で盛り上がりました。ふたりの共通の恩師であるチェリストのアレクサンドル・イヴァシキン氏の話などをしました。サーシャは相変わらずお元気のご様子で、5月2日にはウィグモア・ホールで行われる若手チェリストのためのチェロ・コンクールの審査員をされるとか。サーシャは故・ロストロポーヴィチ氏のお弟子さんであり、また故・シュニトケ氏の大親友でもあった方で、彼が執筆した本は秋元里予さんの訳で日本語にもなっています。『栄光のチェリスト ロストロポーヴィチ』『シュニトケとの対話』の2冊。いずれもとても勉強になる良書です。そんな話をしていたら5月にロンドンに行きたくなってきてしまいました。リージェン・パークの薔薇には少し早いかしら?

また、今日2009年4月14日は作曲家のヘンデルが亡くなってからちょうど250年にあたるとのこと。そういえば、ロンドン留学時代に彼女と一緒にヘンデル・ハウス・ミュージアムに行ったことを思い出しました。ヘンデルが最期を過ごした邸宅が博物館になっていて、その時はチェンバロの生演奏なども行われていました。

時を忘れておしゃべりをしていたらあっという間に3時間半が経過していました。また近いうちにヨーロッパのどこかでの再会を約束し、別れました。

行き帰りの電車のなかでフランス・ブリュッヘン指揮、18世紀オーケストラによるハイドン交響曲100番《軍隊》&104番《ロンドン》を聴きました。先日すみだトリフォニー・ホールで行われた新日本フィルによるロンドン・セット演奏会のときの演奏よりも、アーティキュレーションが明確で、ちょっと窮屈な演奏に聴こえましたが、18世紀オケと日本のオケとではどこが違うかと言われれば、ヨーロッパのオケは管楽器のソリストたちが名手揃いであるということでしょうか?日本のオケは弦楽器パートは優秀なオケが多いですが、聴衆を魅了するようなソロを吹ける管楽器奏者が少ないように思います。今日このCDを聴いていて特に管楽器奏者の力量について考えさせられました。1990年の録音なのですが、先日の新日本フィルによる演奏とは明らかに奏法が異なっていました。この19年の間にブリュッヘンのハイドン交響曲に対する考え方にも変化があったようです。もしご興味がおありの方はぜひ聴いてみてくださいね。今年はハイドンの没後200年の年でもありますので、ハイドンも積極的に聴いてみたいと思っています。

Haydn: Symphonies Nos. 100 & 104

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by ciurlionis | 2009-04-14 23:59 | 音楽