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2010年3月11日はリトアニア共和国がソヴィエト連邦からの独立を自ら宣言して20周年である。今日はそれを記念してピアノリサイタルが行われた。出席者は大使館の招待客のみ200名ほど。

演奏者はリトアニア人ピアニストのペトラス・ゲニュシャス (Petras Geniušas)。

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ゲニュシャスは、以前東京と大阪での教育活動やヤマハ音楽財団でピアノのマスタークラスを行ったことのある日本とはゆかりの深いピアニストである。

1995年9月に指揮者のドマルカス氏率いるリトアニア国立交響楽団が初来日し、チュルリョーニスの交響詩「森の中で」を日本初演した演奏会で、ゲニュシャスはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏し、好評を博した。

今日の演奏プログラムは下記の通り:

グリーグ: ホルベルク組曲

クタビチュス: ピアノ・ソナタ

スクリャービン: ピアノ・ソナタ 第3番

ガーシュイン: ラプソディー・イン・ブルー

(アンコール: 吉松 隆氏の作品)

スクリャービンの第三楽章の抒情的なフレーズが印象的だった。

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「いままでの人生で最良の日であったかも知れない。」 

ここ数年リトアニアを中心にバルト三国やその周辺諸国の音楽や文化に興味を持ち続けてきた自分にとって、そう思えた一日だった。憧れの存在であったチュルリョーニス研究の第一人者でリトアニアの元最高会議議長ヴィータウタス・ランズベルギス氏の演奏するチュルリョーニスを日本で聴く夢がかなったのである。

11月19日にランズベルギス氏が来日され、今日は午前中の日本記者クラブでの記者会見の後、19:00から代官山のヒルサイドプラザでレクチャー・コンサートが開催された。

対談のお相手は東京大学大学院教授の沼野充義氏。沼野氏は1992年のランズベルギス氏の初来日の際にも対談されたことがあり、中央公論1992年6月号に『リトアニア「勝利の歌」とわたし』と題して対談記事が載っていた。

ランズベルギス氏の来日は私の知る限りでは、リトアニアのソ連邦からの独立回復直後の1992年のセゾン美術館での「チュルリョーニス展」、1995年のワタリウム美術館での「フルクサス展」、2005年の愛知万博についで、今回で4回目ではないだろうか?今回の来日の主たる目的は、22日に青山学院大学で行われる「ベルリンの壁崩壊20周年記念国際会議」への出席だそうである。

このたびのレクチャー・コンサートは、初めにリトアニア大使よりランズベルギス氏のご紹介があり、次いでランズベルギス氏によるチュルリョーニスのピアノ作品10曲の演奏があり、その後ランズベルギス氏と沼野氏との対談形式でチュルリョーニスやリトアニアについてのトークが行われた。

レクチャーのタイトルは昨年末発売になった日本語版チュルリョーニスの伝記『チュルリョーニスの時代』から取られ、その原書のタイトル "Čiurlionis. Time and Content" の "Time and Content"の意味が著者のランズベルギス氏から詳しく説明された。文字通り訳すと「時間と内容」となるところであるが、「時間が経過するに従って内容となる芸術が生まれ、さらに時間が経過すると真の芸術になる」ようなことをおっしゃっていた。

演奏されたチュルリョーニスのピアノ作品10曲は下記の通り:

1. 6音列 a-d-f-b-es-ges の主題によるプレリュード ニ短調 (VL 256)
2. 聖霊降臨祭のための音楽 (VL 337a)
3. “Sefaa Esec” の主題によるピアノのための変奏曲 (VL 258)
4-7. リトアニア民謡より 4曲 :
     風は吹いたか (VL 274)
     少女はでかけた (VL 278)
     おお、森よ、森よ (VL 276)
     お母さん、もう少し眠らせて (VL 281)
8. プレリュード ト長調 (VL 338)
9. 連作風景「海」より 第二曲 (VL 317b)
10. 秋 (VL 264)


演奏の背後にはチュルリョーニスの描いた絵画のスライドが投影され、チュルリョーニスの音楽と絵画両面を堪能できる良い機会となった。すべての曲が印象的で、夢のような生演奏の時間はあっという間に過ぎてしまった。そういえば、「お母さん、もう少し眠らせて」 (VL 281) と「プレリュード ト長調」 (VL 338) は、ジョナス・メカス氏の映像日記のなかにランスベルギス氏が登場したときも弾いていた曲である。もしかしたらランズベルギス氏にとって思い入れのある曲なのかもしれない。

チュルリョーニスは絵画作品に「ソナタ」と名づけたり、音楽作品にも「連作風景」と名付けたりしていることを考えると、「音楽的絵画」と「絵画的音楽」はたまた「音楽と絵画の総合藝術」を目指していたのかもしれない。

チュルリョーニスの遺した抽象的傾向の絵画(カンディンスキーにも影響を与えたとされる)や、12音技法に先駆けて音列構造を採用した音楽作品などからは、彼がリトアニアの生んだ天才で、常に時代の最先端を行っていたということが強く感じられ、このたびのレクチャー・コンサートではその一部を垣間見ることができとても有益であった。

レクチャー・コンサート終了後に小さなレセプションが催された。1992年にヴィリニュスで出版された原書 "Čiurlionis. Time and Content" を持参し、ランズベルギス氏からサインを頂戴した。手を差し出すと、大きなぬくもりのある手で固く握手をしてくださった。とてもお優しい懐の深い方であった。

22日の国際会議では、音楽学者ではなく、政治家としてのランズベルギス氏の講演を拝聴できる良い機会となることであろう。


 『チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)

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NHKのTV番組、「世界遺産への招待状」でリトアニアが取り上げられます。

10月26日午後10時より。

詳しくは下記HPをご覧ください。

「世界遺産への招待状」第23回


世界遺産「ビリニュス歴史地区」やユネスコの無形文化遺産である「十字架の丘」、世界遺産「ケルナヴェ遺跡」などを訪ねるそうです。

追伸:
リトアニアの歴史の結構深いところまで、映像や現地のひとの言葉を交えて解説してあり、とても勉強になりました。KGB博物館やパルチザンの話も興味深かった。

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by ciurlionis | 2009-10-26 20:06 | 旅行

先ほどNHKニュースを見ていたら、リトアニアの盆栽連盟会長、ケストゥーティス・プタカウスカス氏 (Kęstutis Ptakauskas) が国際交流基金の招きで10月5日~19日の日程で来日されているとのことだった。

旧ソ連時代にリトアニアからアフガニスタンに派兵された経験をもつプタカウスカス氏は、戦争で傷ついた心を盆栽や日本庭園造りが癒してくれたと語る。

1988年、小さな盆栽を友人からもらったことがきっかけで興味をもち、その後1996年にパランガで目にした日本庭園の写真に心を揺り動かされ、2002年には日本庭園を造るまでになったそうである。そして昨年には自ら盆栽博物館というものもオープンしている。

今後も盆栽を通じてリトアニアと日本の国際交流が続けられることを願ってやまない。

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なお、このプタカウスカス氏は、リトアニア語で盆栽や日本庭園を紹介するWEBサイトを公開しています。意味がわからなくてもあちこちクリックしてみると盆栽コレクションや日本庭園の写真が見られて楽しいですよ。

http://www.bonsai.lt/

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by ciurlionis | 2009-10-15 12:35 | その他

今日で9月も終わりですね。。あっという間のひと月でした。

今日は杉原千畝氏の物語『センポ・スギハァラ2009』演劇公演のご案内です。

案内状が届きましたので、みなさまにもお知らせです。

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以下、ご参照ください。

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1940年、リトアニアに日本領事代理として赴任していた杉原千畝氏は、ナチスドイツの迫害から逃れるユダヤ人に、日本の通過ビザを発給し6000人以上の命を救いました。杉原千畝氏の功績はリトアニアと日本両国の親善を深める歴史上の大切な出来事として私たちの心に今も残っています。このたび劇団銅鑼(東京都板橋区)が、杉原千畝氏の実話をもとにした演劇『センポ・スギハァラ2009』を東京芸術劇場小ホール2にて上演致します。劇団銅鑼は1992年より『センポ・スギハァラ』と題し、杉原氏の演劇を国内・海外で上演しており、1994年リトアニア公演の際には首都カウナスの旧日本領事館の壁に杉原氏の顕彰プレートが設置されました。この度『センポ・スギハァラ2009』と題し、現代の視点で新たな作品として上演致します。学生・若者たちによる、杉原氏に関するアフタートークなども企画されます。下記に公演のご案内をさせていただきますので、宜しければ是非、お誘い合わせの上ご観劇下さいますようお願い申し上げます。

詳しくはhttp://www.gekidandora.comをご参照下さい。

尚、お申し込み、お問合せは劇団銅鑼までお願い申し上げます。

公演期間 2009年10月21日(水)~25日(日)

開演時間 10月21日(水) 19時00分         ※開場は開演の30分前です

     10月22日(木) 19時00分

     10月23日(金)★14時30分・19時00分   ★アフタートークあり

     10月24日(土) 14時30分・19時00分

     10月25日(日) 14時30分

★10月23日(金)14時30分公演終了後アフタートークあり

『若者たちと語る 杉原千畝の決断から 今 私たちが思うこと』

現代を生きる学生・若者たちが「杉原千畝(センポ・スギハァラ)」から感じるもの、人への思い、勇気とは平和とは何かを語り合います。物語の現地リトアニアからの留学生、杉原千畝役の館野元彦も参加します。活発な意見の交換の場になることを期待しています。※『センポ・スギハァラ2009』のチケットまたは半券をお持ちの方はどなたでもご参加いただけます。

期間中 ロビーパネル展開催 「勇気の人 杉原千畝 助けられた命のメッセージ」

会場 池袋・東京芸術劇場小ホール2 JR・西武線・地下鉄「池袋駅」より徒歩5分

チケット(全席指定席)一般4,500円 学生3,000円 グリーン4,050円(65歳以上の方)

お問合せチケットお申込み   ※平日の10時~18時

劇団銅鑼 TEL 03-3937-1101  FAX03-3937-1103  

URL http://www.gekidandora.com
e-mail gekidandora@pop12.odn.ne.jp

他 チケットぴあ/0570-02-9999(pコード396-791) 

東京芸術劇場チケットサービス/03-5985-1707

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このブログもしばらくお休みさせていただくことにしましたので、今日は、最近自分が気に入って聴いているCDについて書きます。

7月の終わりにリトアニアの首都ヴィリニュスにあるCD屋さんに立ち寄ったら、リトアニアの元最高会議議長(国家元首)のヴィータウタス・ランズベルギス氏の弾くチュルリョーニス作品集CDが新しく発売になっていました。

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カバーに採用されている絵画は昨年末オランダから返還譲渡されたチュルリョーニス作の『ピラミッドのソナタよりアンダンテ』です。

この夏にヴィリニュスのネリス川対岸に新規オープンしたVilnius Art Galleryで行われていた「チュルリョーニスと同時代の芸術家たち展」にも出品されていたので、ひと月半の滞在中に3度ほど足を運び、じっくり鑑賞してきました。今はきっとカウナスにある国立チュルリョーニス美術館に戻されていることかと思います。

収録曲は、世界初録音のものも含まれています。録音技術が進歩したせいか、今回の演奏は音色が研ぎ澄まされていて、これまでのLPやCDにあったようなチュルリョーニスのピアノ曲の素朴さが無くなってしまっているのは残念に思いましたが、さすがチュルリョーニス研究の第一人者のランズベルギス氏の演奏だけあって、洗練されているとともにチュルリョーニスのことを知りつくしたピアニストの演奏であるということがよく伝わってきました。

今現在、このCDはリトアニア語のサイトでしか購入することができませんので、また英語のサイトやアマゾンで購入可能になった際は改めてご紹介させていただきます。

それでは、みなさま、良い5連休をお過ごしくださいませ。
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by ciurlionis | 2009-09-18 23:59 | 音楽

去る8月25日にリトアニア人映画監督ジョナス・メカス氏の新DVDが発売になりました。

  DVD Jonas Mekas "Walden: Diaries, Notes and Sketches" 2枚組 180分

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"Walden"として知られる、メカスが1964-69に撮りためたホーム・ムービー、過去の映画のカット部分、未完のプロジェクトからの映像集。友人たちとセントラル・パークでピクニックしている様子や、ジョン・レノンとヨーコ・オノのハネムーン映像などが含まれています。

そういえば、昨年ロンドンのテート・モダンを訪れた際に、メカスの部屋で公開されていたような。。


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by ciurlionis | 2009-09-06 23:59 | 映画

先日、リトアニア大使館から「ジョナス・メカス展」の案内状が届いていたので、渋谷に出向いた後、南青山まで歩いてみました。

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ときの忘れものは、とってもとっても小さいワンルームマンションみたいなギャラリーでした。

その狭いギャラリーの壁に30点ほどのメカスの写真が並べられていたのですが、写真のすぐ下にはキャビネットがあってその上には他の展覧会のチラシなどが所狭しと置いてあって。世界のジョナス・メカスの写真が尊重されていないように感じ、かなり残念でした。

しかも、100冊ほどの本が本棚にあって販売されているようだったので数冊の本に手を伸ばして見ていたら、そのそばから店員が手を出してきて本の整理をし始める始末。

ゆっくりとできる雰囲気も全くなかったので5分ほど滞在してさっさと失礼しました。

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唯一楽しめたことと言ったら、ジョナス・メカスの映画「リトアニアへの旅の追憶」からの数シーンの写真があって、メカスのお母さんが微笑んでいる写真を観られたことでしょうか?

メカスのあの映画には計り知れないほどの意味や意義が含まれていると思うので、どういう形であれ、後世に残されて行くのは良いことだと思いました。


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by ciurlionis | 2009-09-05 23:59 | 美術

先日チュルリョーニスをキーワードにインターネットでいろいろと検索していたら辻井 喬さんの著書『幻花』にヒットした。

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辻井 喬とはご存じの通りセゾン(西武)グループのオーナーで、財団法人セゾン文化財団理事長でおられる堤清二氏のペンネームである。

辻井氏はこの著書のなかでリトアニア紀行 I, II, IIIを書いていて、その内容は多岐にわたっていて興味深い。

まずは、セゾン美術館が1986年にグルジアの画家ピロスマニの展覧会を手掛けたときのことから始まり、1992年にはリトアニアの画家・作曲家チュルリョーニスの展覧会を開催するに至った経緯などを、1991年にリトアニアを独立回復に導いた立役者でチュルリョーニス研究家であるランズベルギス氏について紹介しながら説明している。

辻井氏がリトアニアを訪れたのは日本のシンドラーと呼ばれている杉原千畝氏についての調査のためであったそうである。今年2009年5月に神奈川県民ホールの30周年記念にこの杉原千畝氏を主人公としたオペラ『愛の白夜』改訂決定版が上演されたが、そういえば台本は辻井氏によるものだった。

この著書のわずか40ページほどの文章のなかには、リトアニアの悲惨な過去を含めたリトアニアのエッセンスが凝縮されている。例えば、杉原千畝氏についてもそうであるが、ナチ占領時代のユダヤ人、ソ連時代の森の兄弟、シベリアに抑留されたリトアニア人、ニダに住んだことのあるドイツ人小説家トーマス・マン、リトアニア詩人のミウォシュ、十字架の丘、チュルリョーニスについてなどである。

リトアニアについて考えるとき、想像を絶するほどの困難な時代を経てきたこの国からは、人類が二度と繰り返してはならない多くのことを学ぶのである。


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by ciurlionis | 2009-08-28 23:59 |

今日ちょっとした用事で立ち寄った先で、ある方に「リトアニアが大好きなんです」とお話ししていたら、その方が「リトアニアですか?ベン・シャーンってリトアニア出身ですよね?」と仰ったので少々驚いたのですが、ベン・シャーンについて、しかも彼がリトアニア出身であることをご存じの方にお会いできて嬉しく思ったのでした。

そのことがきっかけで日本在住のアメリカ人詩人のアーサー・ビナードさんの著書『ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜丸』にベン・シャーンのイラストが採用されていたことを思い出し、一度実際に夢の島公園にある東京都立第五福竜丸展示館に第五福竜丸を見に行ってみたいなどと考えていました。

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家に帰ってからNHKの教育テレビを見ていたら、明日8月27日の22:50からの視点論点では、そのアーサー・ビナードさんが最近翻訳された、画家のメアリー・ブレアが描いた『ふしぎの国のアリス』が取り上げられるとのこと。

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これもちょっとした偶然なので、見てみたいと思っています。

ご興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。

また、現在東京都現代美術館で開催中の『メアリー・ブレア展』も、お見逃しなく。

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by ciurlionis | 2009-08-26 23:59 |