以前から気になっていたラトヴィアの合唱団KAMĒR...のCD "Dawn is Breaking" (2007)を聴いてみました。

Dawn is Breaking: Choral Music from Latvia

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KAMĒR...は、1990年に結成されたラトヴィアを代表する合唱団。ラトヴィアの音楽大賞や数々の国際音楽コンクールで70以上の賞を受賞した経験を持つとのこと。

ここに収録されている作品は、すべてラトヴィア人作曲家によってKAMĒR...のために書かれたもので、世界初録音だそうです。

収録曲は下記の通り:

おすすめは何と言ってもペーテリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks)です。
Track 4の Lidzenuma ainavas (Planescapes)では、ヴァイオリニストのギドン・クレーメルが演奏しています。このCDのタイトルにもなっているTrack 6のGaismena ausa (Dawn is Breaking)もクオリティーの高い演奏でした。

1. Amazing Grace
  Esenvalds, Eriks
2. A Drop In The Ocean
  Esenvalds, Eriks
3. Ziles zina (The Message of the Titmouse)
  Vasks, Pēteris
4. Lidzenuma ainavas (Planescapes)
  Vasks, Pēteris

5. Laetentur in Caelis
  Dubra, Rihards
6. Gaismena ausa (Dawn is Breaking)
  Puce, Valts

7. Janu dziesma (Midsummer Song)
  Maskats, Arturs
8. Aizej lietin! (Go Away Rain)
  Esenvalds, Eriks



そういえば先日、クレーメル率いるバルト三国の若者たちによるオーケストラ、クレメラータ・バルティカが世界文化賞(若手芸術家奨励制度)を受賞したそうです。

これからもますます活躍して欲しいですね。

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by ciurlionis | 2009-09-26 21:00 | 音楽

先日から楽しみにしていたラトヴィア人作曲家のぺーテリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks, 1946-)の「弦楽のためのカンタービレ」(Cantabile for Strings) (1979)を聴きに東京オペラシティ コンサートホールまで足を運びました。

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演奏は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、指揮は矢崎彦太郎氏。

このオーケストラは先日の演奏会でもラトヴィア人作曲家のゲオルクス・ペレーツィスの作品を採り上げていて、バルト三国の音楽に興味を持っている筆者にとっては嬉しい演奏会なのでした。

当の演奏はどうだったかというと、大人しい感じではありましたが、隅々まできちんと聴かせる好演でした。冒頭のチェロの旋律も、途中のヴァイオリンの下降音もしっかり演奏されていました。偶然性の音楽が採用されているにもかかわらず、和音がクリアーでとにかく美しかった。今日の演奏会のためにリガ(リーガ)フィルハーモニック管弦楽団とラトヴィア国立交響楽団のCDを聴いて予習していたのですが、ラトヴィア人の演奏から感じる鬼気迫る感じはなかったものの、日本のオーケストラの弦楽器パートの演奏水準の高さを知る良い機会となりました。次回はMusica Dolorosa (1983)にトライして欲しいと思います。

続けて演奏されたのが、松山冴花さんのヴァイオリン独奏によるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第4番 二長調 K. 218。第一楽章は少々不安定な部分もありましたが、第二、三楽章は、とにかく松山さんのヴァイオリンが聴かせました。線の細い繊細な音色にもかかわらず、彼女の持つ抒情性と絶妙なデュナーミクがすばらしかった。総じて好印象のモーツァルトでした。

休憩をはさんで今度はシベリウスの交響曲第1番が演奏されました。ときおりティンパニとバスドラムを伴った大音響が響き渡ったのですが、Allegro energicoという表記が作品中にあるものの、シベリウスがあそこまでの大音響を望んで作曲したのか、甚だ疑問に思いました。それ以外は、シベリウスの作品から受ける「無機的」な感じが今日の演奏にも顕れていて、日本のオーケストラとシベリウスの作品は結構マッチしているのかも知れないと思いました。

この東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団は、次回の第229回定期演奏会でも「日本オランダ年」を記念して、オランダ人作曲家のめずらしい作品ばかりを演奏するようです。このようなユニークな企画はこれからも継続していって欲しいと思います。

最後に、ヴァスクス作曲の「弦楽のためのカンタービレ」を収録したCDがもう一枚ありますのでご紹介しておきます。このCDは比較的入手しやすいようですのでご興味のある方は聴いてみてください。演奏は、ラトヴィア国立交響楽団。ラトヴィアがソヴィエト連邦から独立を回復した翌年の1992年5月に録音されたものです。

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by ciurlionis | 2009-05-08 23:59 | 音楽

初めてラトヴィアを訪れたのは確か2004年の9月だったと思う。バルト三国がEU加盟を果たした直後だった。その時私はまだロンドン留学中で、研究滞在されていた日本人の先生にお会いするためにリガを訪れたのであった。

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その時はガイドブックのようなものを一切持っていなかったので少々不安に思いつつも、アルヒーフに行ってくるという先生と別れてひとりリガの街を歩いてみた。そこには、大きな生鮮市場があったり、ユーゲントシュティルの建築群(映画監督のエイゼンシュテインの父による建築物)があったり、ワーグナーが弾いたといわれるパイプオルガンがある大聖堂があったりと、初めて訪れたリガは様々な文化・芸術の集合体に思えた。そして最後に訪れたのが「占領博物館」。政治犯として逮捕された人々がどのような生活を強いられたのかが展示されていた。

あちこち歩いてみたもののまだ約束の時間には早かったので、ラトヴィアの民族音楽のCDでも買ってみようとCD店に立ち寄った。そこで、CD屋のお姉さんが勧めてくれた民族楽器による音楽CDや、ラトヴィアの作曲家によるCDを数枚購入したのだった。そのなかにペーテリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks, 1946-)のCDもあった。

なぜ突然こんなことを書き始めたのかというと、2009年5月8日(金) 19:00~に東京シティ・フィルが東京オペラシティ・コンサートホールでこのヴァスクス作曲の『弦楽のためのカンタービレ』(1979)を演奏するというので、久しぶりにヴァスクスのCDを聴き、ラトヴィアのことを思い出していたからである。

いずれも今はなきConifer Classicsというレコード会社からリリースされたもので、その当時リガで購入したのは、"message""chamber music"の2枚。そして先週たまたま立ち寄った新宿のCD屋さんで3枚目の"cello concerto" (リトアニア人チェリストのゲリンガスによる演奏)を発見!もう一生手に入ることはないだろうと思っていた一枚だったのでとても嬉しかった。

"message"
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"chamber music"
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"cello concerto"

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そして今日、"message"のライナーノーツを読んでいたら4月1日のブログでご紹介したポドニエクス監督のドキュメンタリーについて触れられているではないか!これら3枚のCDをConifer ClassicsからリリースしたプロデューサーのJohn Kehoe氏によるノーツには、1991年1月にリガとヴィリニュスで起こった惨事のことや、ユリス・ポドニエクス監督制作のドキュメンタリー映画のこと、また彼の親友であった二人のカメラマン、アンドリス・スラピンスとグビード・ズバイグスネがその一連の惨事で負傷し亡くなったことが記されていた。またKohoe氏はちょうどその頃、ラトヴィア人ハーフで指揮者のクリシュス・ルスマニスによるBBC Radio 3のためのバルト三国の音楽のプログラムを聴いて、多くの新事実を見出した。その後、すぐにルスマニス氏に会いスコアを見せてもらい、録音も聴かせてもらったそうだ。話をしていくうちに、そのルスマニス氏がポドニエクス監督のドキュメンタリーもプロデュースしていたという事実も知ることとなった。その後Kohoe氏はルスマニス氏とラトヴィアに渡り、30人ものラトヴィア人作曲家と出会うことになった。そこで、彼の耳に留まったのがヴァスクスだったのである。

ヴァスクスについてはまた後日ゆっくりと紹介させていただくとして、今日はこの代表的なCD “message”から、5月8日に演奏される予定の”Cantabile for string orchestra (1979)とヴァスクスの代表作である”Musica dolorosa (1983)”の2曲を紹介しておきたい。

“Cantabile”はヴァスクスがピアノの白鍵しか使わずに作曲した弦楽のための作品で、「この世界がいかに美しく調和のとれたものであるかをこの8分間で伝えたかった」とのこと。しばしばパターン化された偶然性のパッセージやミニマリズム的なフレーズも聴こえるが、決して単調ではなく、絶え間なく奏される低音の上で、サイレンのような弦楽器のグリッサンドや突然のピッチの降下などが起こり、とても斬新である。ヴァスクスによれば、「音楽とは感情に基づく芸術で、もしそこに感情がなければ芸術もない。」とのことである。

“Musica Dolorosa”は、ヴァスクスの最も個人的で情熱的な作品である。この作品はこれが書かれる少し前に亡くなったお姉さん(妹さん)に捧げられた。この音楽はとてもメロディックな音楽と言いたいが、ヴァスクスはこれをメロディーとは呼ばず、自分が作曲するにつれて成長する主題の粒で、作品の創作のために積み上げているレンガのようなものであるとしている。この作品が書かれたのは、個人的に悲しい時期であったばかりではなく、ラトヴィアの政治的状況がもっとも厳しい時期でもあった。「この作品は私のもっとも悲劇的な作品であり、そこにオプティミズムはなく、希望もなく、あるのは痛みだけである。」と。

最近はRCAから同CDが再リリースされていますので、ご興味のある方はぜひどうぞ。


"message"
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by ciurlionis | 2009-04-28 23:59 | 音楽

先日、渋谷のタワーレコードのクラシックフロアに立ち寄り、現代音楽のコーナーで興味深いCDを見つけました。その名も"DAVID'S SONG: David Geringas plays Anatolijus Šenderovas"というものです。リトアニア出身のチェリスト、ダーヴィド・ゲリンガス(David Geringas)がリトアニアの作曲家アナトリユス・シェンデロヴァス(Anatolijus Šenderovas)の作品を収録したCDと聞いては、買わずにはいられませんでした。

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2005年秋に、ロンドンのウィグモア・ホールで行われた"A Russian Spectacular"という演奏会で彼の演奏を初めて聴いたのですが、その演奏会はNatalia Gutman、Leonid Gorokhov、Sergei Suvorov、Ivan Monighetti、Alexander Rudin、David Geringasという6人のチェリストが集い、プロコフィエフ、シュニトケ、ヴァスクス、リムスキーコルサコフ、ペンデレツキ、アレンスキーの曲を演奏するという豪華な演奏会で、ゲンリンガス氏はラトヴィアの作曲家Pēteris VasksのDas Buchを演奏したのですが、その時の彼の演奏があまりにも印象的で、それまでに聴いたことのないような洞察力の深い演奏でしたので魅了されてしまい、その日以来、彼には注目していました。

ダーヴィド・ゲリンガスは、指揮者としても有名で、現在ヴィリニュスのリトアニア室内管弦楽団の常任客演指揮者や2006年4月からは九州交響楽団の首席客演指揮者として活躍しています。

彼は、モスクワ音楽院で、故ロストロポーヴィチ氏に師事し、バロックから現代音楽まで幅の広いレパートリーを持ったチェリストとしても良く知られています。

このCDの収録作品の作曲者アナトリユス・シェンデロヴァス(Anatolijus Šenderovas)とゲンリンガスは幼なじみで、ゲリンガスの最初の師はアナトリユスのお父様であったそうです。このCDのなかでは、もちろんこの"David's Song"がおすすめですが、"Songs of Shulamith for Cello, Bajan, Percussion and Recording (1992/ Version 2001)"も色々な楽器の音が聞こえてきて楽しめますし、チェロの音色もクラシック音楽の楽器ではないようなどこか、民族的な楽器に聴こえます。

ゲリンガスはシェンデロヴァスの曲を多数初演しており、2002年に初演された《ハ調の協奏曲》では、ヨーロッパ作曲家賞を受賞したそうです。

また、ゲリンガスはラトヴィアの作曲家、ぺーテリス・ヴァスクスのチェロ作品もCDに録音していて、そちらもかなりおすすめのCDですので、ご紹介しておきます。

Peteris Vasks: Gramata cellam; Partita; Episodi e canto perpetuo

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ゲリンガスの演奏は、洞察力の深い、完璧なテクニックによる世界でも屈指の名演ばかりだと思います。

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by ciurlionis | 2009-03-04 23:59 | 音楽