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東日本大震災が起こってから明日でひと月になります。

しばらくはバッハ以外聴く気にならなかったのですが、今日はチュルリョーニスが1911年4月10日にワルシャワ郊外のサナトリウムで没してから100年の記念日なので、お気に入りのランズベルギス氏の弾くチュルリョーニスをひっそりと聴いていました。

このEMIからリリースされているCDは何度かこのブログでもご紹介してきましたので、内容についての説明は省略しますが、この演奏はチュルリョーニスのピアノ曲のもつ素朴感や牧歌的雰囲気が良く出ていて気に入っています。

もしよろしければ聴いてみてくださいね。

Čiurlionis:Born of Human Soul
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『チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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by ciurlionis | 2011-04-10 22:25 | 音楽

芸術新潮2010年10月号のチュルリョーニス特集を読みました。

ランズべルギス教授、チュルリョーニスのひ孫のズボヴァス、そして、先日の音楽学会でお目にかかったラサ・アンドリュシーテ・ジュキエネ教授のインタビューを楽しく拝見しました。

ただ、小沼純一氏の執筆した「音楽篇」は具体性に欠ける文章でチュルリョーニスの音楽に関してなにも得るものがありませんでした。かえって誌面の印象を悪くしている気さえしました。

チュルリョーニスの音楽を愛し、詳しく知る人は大勢いるのに、その方々によって執筆されなかったのは残念に思いました。

付録のCDは、昨年リトアニア国立交響楽協会からリリースされた2枚組CDからの抜粋盤。以前のランズベルギス録音にあったチュルリョーニス音楽の素朴感が薄れ、洗練された演奏になっています。

個人的にはソ連時代にメロディヤからリリースされたランズベルギス氏の演奏するピアノ曲のLPや、1998年にEMI ClassicsからリリースされたCDの録音の方が、本来チュルリョーニスの音楽のもつ牧歌的で素朴なイメージがよくあらわれていて、おすすめです。

芸術新潮誌上では、詳しい曲目の解説がなかったので、軽く解説をしておきます。

トラック1~5
プレリュードなど5曲 (VL186, 187, 189, 188, 197)

チュルリョーニスが1899-1903年に作曲した一連のプレリュードは、幅広い和音と多声のテクスチュアからなり、ロマン的な要素の上に、リトアニア民謡の旋律やリズムが用いられていて、最もチュルリョーニスらしい作品です。なかでも1901年の夏にリトアニアの保養地ドルスキニンカイにて作曲されたプレリュードは「ドルスキニンカイ・プレリュード」と呼ばれ、牧歌的で素朴な印象が強い作品。このCDに収録されているVL187, VL188, VL260の3曲はジョナス・メカス監督の映画『リトアニアへの旅の追憶』でも使用されていたので聞いたことがある方もいらっしゃるはず。

トラック6
"Sefaa Esec" の主題によるピアノのための変奏曲 (VL258)

1904年の作品。親しい女友達の名前、ステファニア・レスキェヴィチ (Stefania Leskiewicz) の綴り字から9音 "Sefaa Esec" (変ホ、ホ、ヘ、イ、イ、変ホ、ホ、ハ)を採用して音列化し、その主題をもとに7つの変奏曲が作曲されました。

トラック7
プレリュード ト長調 (VL338)

1909年にドルスキニンカイで作曲された8曲のプレリュードのうちの一曲でチュルリョーニス晩年の作品。この年初めにソフィヤと結婚し、自作の絵画と音楽作品がともにサンクト・ペテルブルグで発表されるなど、幸せの絶頂にありました。この曲を含む8曲のプレリュード(VL335, 337a, 338, 339, 340, 341, 343, 344)を聴くと、音楽を知り尽くしたチュルリョーニスの宇宙観を感じることができます。独創的なテクスチュアに新古典主義的な方向性すらうかがえます。そしてこれらの集大成としてチュルリョーニス最大の傑作、フーガVL345が生まれることになります。

トラック8
Pater Noster 「主の祈り」(パーテル・ノステル)(VL260)

1904年にワルシャワで作曲された作品。チュルリョーニスの音楽は1904年を境にして大きく作風が変わりました。この時期チュルリョーニスは彼自身の芸術への道を模索しており、美術学校で絵画を学ぶようになったことも影響したのか、空間的な拡がりや、新しい現代的な和声やリズムを試すようになっていきました。その頃の作品のひとつです。


下記にランズベルギス教授の演奏するおすすめCDを載せておきます。

”Born of the Human Soul” Čiurlionis Piano Works by Vytautas Landsbergis

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また、リトアニアをソ連邦からの独立回復へと導いたランズベルギス教授の英語による自伝も出版されていますのでご興味のおありの方はぜひどうぞ。

Lithuania Independent Again: The Autobiography of Vytautas Landsbergis [Hardcover]

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芸術新潮 2010年 10月号 [雑誌]

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by ciurlionis | 2010-09-27 23:59 |

以前一度このブログでもご紹介した世界的映像作家であるジョナス・メカス氏のウェブサイト、
www.jonasmekas.comでやっていた映像日記"365 Films by Jonas Mekas"のなかの2007年11月12日の映像日記には、リトアニアの元国家元首ヴィータウタス・ランズベルギス氏が登場してチュルリョーニスのピアノ作品を演奏しているのですが、その映像がYou Tubeで公開されていました。



演奏されているのは、

リトアニア民謡のピアノ用編曲より、
Močiute, noriu miego [Mother, I want to sleep], VL281 (1906) 

The last Summer (8曲) より、
III. Prelude in G major, VL338 (1909) 

の2曲で、使用されているピアノはドイツのベヒシュタイン(C.Bechstein) です。

1906年にチュルリョーニスは、リトアニア民謡の重要性を説き、リトアニア民謡の編曲に取り組み、多くの合唱用編曲とピアノ用編曲を作曲しました。

また、2曲目のPrelude in G majorは、チュルリョーニスが1909年「作曲に打ち込んだ最後の夏」に作曲した8曲のうちの1曲です。

やはり、チュルリョーニス研究の第一人者、ランズベルギス氏の弾くチュルリョーニスには特別なものを感じます。その指からは静かに語りかけるような深く思索的な音楽が紡ぎだされる。誰も真似のできないところです。演奏後には「ブラヴォー!」の声が飛んでいます。

わずか5分足らずの映像日記ですが、一見・一聴に値します。おすすめです。

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by ciurlionis | 2010-09-10 00:01 | 音楽

今日は、チュルリョーニスに関する英語論文を書きながらチュルリョーニスの合唱・ピアノ作品の演奏会DVDを観ていた。

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内容は、2009年4月28日にブリュッセル王立音楽院でリトアニアEU加盟5周年とリトアニアの国名千年紀を記念して行われた、ヴィリニュス大学合唱団 "Pro musica" とヴィータウタス・ランズベルギス教授のピアノ演奏によるチュルリョーニス合唱・ピアノ作品演奏会の模様を収録したもの。

„Pro musica“. Religious songs.

1. Kyrie
2. Gloria
3. Sanctus

Prof. Vytautas Landsbergis. Piano works.

1. Moment musical in F sharp minor
2. Mazurka in B minor
3. Prelude in B minor
4. Fughetta in B minor
5. Prelude in B minor
9–11. Three traditional Lithuanian folk songs
12. Autumn
13. Prelude on the six-tone row
14. Music for the Whit Sunday
15. Prelude in A major
16. The Willow on the Hill
17. Prelude in D Minor

„Pro musica“. Lithuanian folk songs harmonized by M. K. Čiurlionis

18. Across the Nemunas
19. What the Lad Thought
20. Oh, Forest, Forest
21. Mother Sent Me
22. Dawn is Breaking
23. Oh, Mother

Choral works are conducted by Rasa Gelgotienė and Gediminas Gelgotas.

DVDとCDがセットになっている。

昨年2009年夏にヴィリニュス大学に留学していた時に大学の教会で聴いた演奏会とほぼ同一の内容。教会内に響くチュルリョーニスの合唱・ピアノ作品の音、音、音。耳に焼き付いていて今でも忘れることはない。ランズベルギス氏の弾くチュルリョーニスの生演奏を聴くことができて感慨無量であった。

これはヴィリニュスでたまたま見つけて買ってきたものなのでどこで入手できるかはわからないが、下記のサイトで少しだけ聴くことができる。ご興味があればぜひどうぞ。


"Pro Musica" DVD "M. K. Čiurlionio chorinė ir fortepijoninė kūryba", Briuselis, 2009.

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by ciurlionis | 2010-09-09 23:59 | 音楽
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「いままでの人生で最良の日であったかも知れない。」 

ここ数年リトアニアを中心にバルト三国やその周辺諸国の音楽や文化に興味を持ち続けてきた自分にとって、そう思えた一日だった。憧れの存在であったチュルリョーニス研究の第一人者でリトアニアの元最高会議議長ヴィータウタス・ランズベルギス氏の演奏するチュルリョーニスを日本で聴く夢がかなったのである。

11月19日にランズベルギス氏が来日され、今日は午前中の日本記者クラブでの記者会見の後、19:00から代官山のヒルサイドプラザでレクチャー・コンサートが開催された。

対談のお相手は東京大学大学院教授の沼野充義氏。沼野氏は1992年のランズベルギス氏の初来日の際にも対談されたことがあり、中央公論1992年6月号に『リトアニア「勝利の歌」とわたし』と題して対談記事が載っていた。

ランズベルギス氏の来日は私の知る限りでは、リトアニアのソ連邦からの独立回復直後の1992年のセゾン美術館での「チュルリョーニス展」、1995年のワタリウム美術館での「フルクサス展」、2005年の愛知万博についで、今回で4回目ではないだろうか?今回の来日の主たる目的は、22日に青山学院大学で行われる「ベルリンの壁崩壊20周年記念国際会議」への出席だそうである。

このたびのレクチャー・コンサートは、初めにリトアニア大使よりランズベルギス氏のご紹介があり、次いでランズベルギス氏によるチュルリョーニスのピアノ作品10曲の演奏があり、その後ランズベルギス氏と沼野氏との対談形式でチュルリョーニスやリトアニアについてのトークが行われた。

レクチャーのタイトルは昨年末発売になった日本語版チュルリョーニスの伝記『チュルリョーニスの時代』から取られ、その原書のタイトル "Čiurlionis. Time and Content" の "Time and Content"の意味が著者のランズベルギス氏から詳しく説明された。文字通り訳すと「時間と内容」となるところであるが、「時間が経過するに従って内容となる芸術が生まれ、さらに時間が経過すると真の芸術になる」ようなことをおっしゃっていた。

演奏されたチュルリョーニスのピアノ作品10曲は下記の通り:

1. 6音列 a-d-f-b-es-ges の主題によるプレリュード ニ短調 (VL 256)
2. 聖霊降臨祭のための音楽 (VL 337a)
3. “Sefaa Esec” の主題によるピアノのための変奏曲 (VL 258)
4-7. リトアニア民謡より 4曲 :
     風は吹いたか (VL 274)
     少女はでかけた (VL 278)
     おお、森よ、森よ (VL 276)
     お母さん、もう少し眠らせて (VL 281)
8. プレリュード ト長調 (VL 338)
9. 連作風景「海」より 第二曲 (VL 317b)
10. 秋 (VL 264)


演奏の背後にはチュルリョーニスの描いた絵画のスライドが投影され、チュルリョーニスの音楽と絵画両面を堪能できる良い機会となった。すべての曲が印象的で、夢のような生演奏の時間はあっという間に過ぎてしまった。そういえば、「お母さん、もう少し眠らせて」 (VL 281) と「プレリュード ト長調」 (VL 338) は、ジョナス・メカス氏の映像日記のなかにランスベルギス氏が登場したときも弾いていた曲である。もしかしたらランズベルギス氏にとって思い入れのある曲なのかもしれない。

チュルリョーニスは絵画作品に「ソナタ」と名づけたり、音楽作品にも「連作風景」と名付けたりしていることを考えると、「音楽的絵画」と「絵画的音楽」はたまた「音楽と絵画の総合藝術」を目指していたのかもしれない。

チュルリョーニスの遺した抽象的傾向の絵画(カンディンスキーにも影響を与えたとされる)や、12音技法に先駆けて音列構造を採用した音楽作品などからは、彼がリトアニアの生んだ天才で、常に時代の最先端を行っていたということが強く感じられ、このたびのレクチャー・コンサートではその一部を垣間見ることができとても有益であった。

レクチャー・コンサート終了後に小さなレセプションが催された。1992年にヴィリニュスで出版された原書 "Čiurlionis. Time and Content" を持参し、ランズベルギス氏からサインを頂戴した。手を差し出すと、大きなぬくもりのある手で固く握手をしてくださった。とてもお優しい懐の深い方であった。

22日の国際会議では、音楽学者ではなく、政治家としてのランズベルギス氏の講演を拝聴できる良い機会となることであろう。


 『チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一・村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)

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このブログもしばらくお休みさせていただくことにしましたので、今日は、最近自分が気に入って聴いているCDについて書きます。

7月の終わりにリトアニアの首都ヴィリニュスにあるCD屋さんに立ち寄ったら、リトアニアの元最高会議議長(国家元首)のヴィータウタス・ランズベルギス氏の弾くチュルリョーニス作品集CDが新しく発売になっていました。

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カバーに採用されている絵画は昨年末オランダから返還譲渡されたチュルリョーニス作の『ピラミッドのソナタよりアンダンテ』です。

この夏にヴィリニュスのネリス川対岸に新規オープンしたVilnius Art Galleryで行われていた「チュルリョーニスと同時代の芸術家たち展」にも出品されていたので、ひと月半の滞在中に3度ほど足を運び、じっくり鑑賞してきました。今はきっとカウナスにある国立チュルリョーニス美術館に戻されていることかと思います。

収録曲は、世界初録音のものも含まれています。録音技術が進歩したせいか、今回の演奏は音色が研ぎ澄まされていて、これまでのLPやCDにあったようなチュルリョーニスのピアノ曲の素朴さが無くなってしまっているのは残念に思いましたが、さすがチュルリョーニス研究の第一人者のランズベルギス氏の演奏だけあって、洗練されているとともにチュルリョーニスのことを知りつくしたピアニストの演奏であるということがよく伝わってきました。

今現在、このCDはリトアニア語のサイトでしか購入することができませんので、また英語のサイトやアマゾンで購入可能になった際は改めてご紹介させていただきます。

それでは、みなさま、良い5連休をお過ごしくださいませ。
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by ciurlionis | 2009-09-18 23:59 | 音楽

今日は、昨年末にオランダのロッテルダム国際映画祭でも話題を呼んだリトアニア人映画監督ジョナス・メカスの新作映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』"Lithuania and the Collapse of the USSR"(2008)の上映会に行ってきました。

今年2009年は、リトアニアの国名の千年紀(1009-2009)であり、またリトアニアの首都であるヴィリニュスは欧州文化首都に指定されています。このたびの上映会もこの記念すべき年の文化交流企画のひとつとして、リトアニア大使館で行われました。おおよそ半日をかけた大プロジェクトでした。

2月21日のブログでもご紹介しましたが、この映画は4時間46分にもおよぶ超大作のため、字幕の問題などもあり、国内公開はまだ先になりそうとのこと。今回の上映会はリトアニア大使館の文化部の方の企画により、ごく少数の方を対象にして実現されました。

この映画はジョナス・メカスが、1989-1991年にかけて主にアメリカで放送されたニュース映像を自身のヴィデオ・カメラで撮影し編集した、リトアニアの独立回復に向けての軌跡を描いたドキュメンタリー映画です。

この映画の凄いところは「映画に登場するすべてのニュース映像を、メカス自身が観ながらヴィデオ・カメラに収録しているところ」だと思います。単なる録画ではなく、ニュースを観ながら撮影というところがメカスらしく、ニューヨークから祖国の行く末を見守っていたその頃の彼の生活ぶりが伺えます。途中、メカスの咳払いや、子どもがヴァイオリンを練習している音、電話の鳴る音などもニュースといっしょに聴こえてきました。

内容は、当時アメリカで放送されたリトアニアの再独立に関するニュース映像が時系列順に編集されたもので、主に当時のアメリカ大統領であったJ. W. ブッシュ(父)とソ連共産党のミハイル・ゴルバチョフ書記長の発言や、彼らのリトアニア訪問時の映像、またそれに対する有識者たちのコメント映像、そして当時のリトアニア最高会議議長のランズベルギス氏の演説の映像などでまとめられていました。

感想は、どんなに小国が危機に陥りヘルプを求めていようとも、「結局大国は大国のための利益を優先するのだ」ということを見せつけられた5時間でした。

一番印象に残ったのは、当時リトアニアの最高会議議長であったヴィータウタス・ランズベルギス氏の下記の言葉でした。

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1991年9月、リトアニア、ラトヴィア、エストニアはソ連からの離脱・独立回復を正式に認められ、ふたたび共和国となりました。2004年にはNATO加盟につづき、EUにも加盟を果たしています。

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by ciurlionis | 2009-04-18 23:59 | 映画

今日は4月1日。エイプリルフールで、新年度の始まりでもありましたが、何も変わらない一日を過ごしました。

以前からバルト三国の作曲家や「歌と踊りの祭典」に興味を持っていたので、今日は1991年5月放送のNHKスペシャル「祖国」を観てみました。

1990年に独立を回復したバルト三国でしたが、1991年に正式にソヴィエトに独立を認められるまでには武力弾圧でリトアニアとラトヴィアで犠牲者が出るなど、苦難の道のりでした。事実、このドキュメンタリー「祖国」を制作したユリス・ポドニエクス監督の親友でカメラマンであったアンドリス・スラピンスとグビード・ズバイグスネは、リトアニアのヴィリニュスで起こった1991年1月13日血の日曜日事件の一週間後の1991年1月20日(日)にラトヴィアの首都リガで起きた武力弾圧の場面を撮影中に銃弾を浴びて亡くなっています。

このふたりのカメラマンが撮影し遺した映像をもとに、この「祖国」というドキュメンタリーは作られました。1990年5月にラトヴィア最高会議で独立宣言が可決されたときの緊迫した場面や、1990年7月の独立回復後に行われた音楽祭のために海外に亡命していたラトヴィア人が帰国する場面、また24000人もの民族衣装を纏ったラトヴィア人が集まり、50年間歌うことを禁止されていたラトヴィア民謡《主よラトヴィアを讃えたまえ》が歌われる場面などが、実際にその苦難の弾圧時代を生きた人々の生の声を盛り込みながらドキュメンタリーにまとめられていました。

ソヴィエトからの独立回復を勝ち取った当時のバルト三国の首脳の笑顔がとても印象的でした。
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一番右側の笑顔で花束を持っている人物が、音楽学者でピアニストでチュルリョーニス研究者である当時のリトアニア最高会議議長のヴィータウタス・ランズベルギス氏です。

バルト三国はその後2004年にNATO加盟に次いでEUにも加盟を果たしています。

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by ciurlionis | 2009-04-01 21:00 | 映画

昨年から制作中と聞いていたリトアニア人映画監督ジョナス・メカス氏の新作映画『リトアニア、そして旧ソ連邦の崩壊』Jonas Mekas's Film "Lithuania and the Collapse of the USSR" が完成され、オランダのロッテルダムの国際映画祭で上映されました。4時間46分の超大作です。
また、つい最近までニューヨークのAnthology Film Archivesで上映されていたようで、ニューヨーク・タイムズ紙などでも大きく取り上げられていました。

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内容は、メカス氏が記録していた、1989年~1991年のリトアニアがソヴィエトからの独立を回復した当時のテレビニュースの映像を中心に構成されていて、当時のリトアニアの最高会議議長(国家元首)であったヴィータウタス・ランズベルギス氏や、ソヴィエトのリーダーゴルバチョフ書記長、ロシアの大統領エリツィン氏、アメリカの大統領ジョージ H.W. ブッシュ氏(父ブッシュ)などが登場します。

'This video is hand-held footage I took from newscasts during the collapse of the USSR between 1989 and 1991. It can be viewed as a classic Greek drama in which the destinies of nations are changed drastically by the unbending will of a single man, one small nation determined to regain its freedom, backed by Olympus in its fight against the Might & Power, against the Impossible.'
(Jonas Mekas)

Part one: 75 min. Part two: 69 min. Part three: 75 min. Part four: 67 min.


詳しい英文記事は下記のサイトで読むことができます。

THE NEWYORK TIMES

THE VILLAGE VOICE

ANTHOROGY FILM ARCHIVES

INTERNATIONAL FILM FESTIVAL ROTTERDAM

TATE MODERN LONDON

日本国内での劇場公開が待ち遠しいですね!

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by ciurlionis | 2009-02-21 23:59 | 映画

今日は、昨日少しご紹介しましたチュルリョーニス研究の第一人者でリトアニア元最高会議議長のヴィータウタス・ランズベルギス氏演奏のCDとLPをご紹介します。CDはアメリカのアマゾンで入手可能です。LPは、ジョナス・メカス監督の映画『リトアニアへの旅の追憶』の音源として使用されたことで有名なものですが、残念ながらCD化されていません。


まず、CDの方は、EMI CLASSICSから、Čiurlionis: Born of the Human Soul, Works for Solo Piano(Piano: Vytautas Landsbergis)というものが出ています。

このCDは1998年に新たに録音された盤ですが、このCDのライナーノーツにランズベルギス氏のチュルリョーニスの音楽への想いが書かれています。その一部をここに抄訳します。

「私がチュルリョーニスの音楽で好きなところは、その音楽が持っているリズムの構成や色彩、フレーズの柔軟性を通して人々を啓蒙する力があるところである。彼の音楽は美しく、心情が良く表現されていて、また卓越した象徴主義作品である。私が彼の音楽を演奏するとき、私の指からこれらのことが聴衆に伝わるように試みている。彼の音楽はつねに揺れ動き、休むことのない魂を反映しているのだが、それがリトアニアなのである。この音楽を知ってもらえるように人々を招いているのである。」

おすすめは、VL 178, VL 184, VL 187, VL 188のプレリュードとリトアニア民謡のピアノ用編曲です。

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CD-EMI CLASSICS: 5 66791-2 (US, 1998) "Čiurlionis: Born of the Human Soul, Works for Solo Piano" Nocturne in F sharp minor [VL 178], Prelude in B major [VL 186], Prelude in B minor [VL 182a], "Angelas Dievo" [Angelius Domini] Prelude in F sharp major [VL 184] (Composed in Druskininkai) , Impromptu in F sharp minor [VL 181], Prelude in D flat major [VL 187], Prelude in B flat minor [VL 169], Fugue in B flat minor [VL 345], Prelude in C major [VL 331], "Vai močiute" [Oh, Mother] [VL 277],Concord (Episode from Symphonic Poem "Jūra" [The Sea]) [VL 255], Prelude in G major [VL 338], "Tėve mūsų" [Pater Noster] [VL 260], "Bėkit, bareliai" [Stretch Away, Fields] 4 Variations [VL 279], Prelude in D minor [VL 239], Prelude in A major [VL 335], "Ant kalno gluosnys" [Willow on the Hill] [VL 289], Prelude [VL 188], Variations "SEFAA ESEC" Theme [VL 258], "on onem kiemely" [In a Courtyard] (Ar vėjai pūtė [Did the winds blow]) [VL 274], Prelude in D minor [VL 325], "Sekminių muzika" (Prelude for the Whitsunday in D major) [VL 337a], Prelude in G minor [VL 310], "Oi giria, giria" [Oh, Forest, Forest] 5 Variations [VL 276] (Vytautas Landsbergis)

下記2枚のLPのうち、1枚目のLPより8曲が、映画『リトアニアへの旅の追憶』のバックグラウンド・ミュージックに使用されました。

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LP-MELODIYA: D 012339/40 (SU, 1962) Prelude op. 7, No. 4 [VL 188], Prelude op. 3, No. 1 [VL 169], Prelude op. 11, No. 2 [VL 199], Prelude op. 7, No. 2 [VL 187], Prelude op. 6, No. 1 [VL 184], Prelude op. 12, No. 1 [VL 239], Prelude op. 12, No. 2 [VL 240], Prelude op. 14, No. 2 [VL 248], [Some sources incorrectly indicate it as op. 12, No. 1], Prelude op. 17, No. 1 [VL 260], [Some sources incorrectly indicate it as op.16, No. 3], Prelude op. 16, No. 3 [VL.256], Prelude op. 21, No. 1 [VL 294], Prelude op. 21, No. 2 [VL 295], Prelude op. 33, No. 3 [VL 340], Prelude op. 33, No. 1 [VL 338], Prelude op. 30, No. 1 [VL 318], Prelude op. 31, No. 2 [VL 327], Prelude op. 33, No. 4 [VL 342], [Some sources incorrectly indicate it as op. 39, No. 4], Prelude op. 33, No. 5 [sic op. 22, No. 5 ] [VL 304], Prelude op. 31, No. 1 [VL 325], Prelude op. 33, No. 2 [VL 339], Prelude op. 32, No. 3 [sic op. 33, No. 7 ] [VL 333], [Some sources incorrectly indicate it as op. 39, No. 7] (Piano: Vytautas Landsbergis)


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LP-MELODIYA: D 022921/22 (SU, 1967) 7 Variations Theme "Sefaa Esec", op. 15 [VL 258], Prelude op. 15, No. 2 [VL 257], 4 Variations Theme "BESACAS", op. 18 [VL 265], Fugue, op. 34 [VL 345], Preludes: op. 32, No. 2 [VL 335], op. 30, No. 2 [VL 319], op. 26, No. 3 [VL 310], "Oi giria, giria" [Oh, Forest, Forest] I-V [VL 276], "Močiute mano miela" [Mother, I Want to Sleep] [VL 281], "Išėjo mergaitė" [Maiden Left] I-II [VL 278], "Ei mergele" [Hey, Maiden] I-III [VL 283], "Ganiau aveles" [I Shepherd] [VL 282], "Vai močiute" [Oh, Mother] I-II [VL 277], "Subatos vakarėlį" [Saturday Night] I-III [VL 286], "on onem kiemely" [In a Courtyard] I-II [VL 274], "Aš pasėjau rūtelę" [I Sowed the Rue ] [VL 280], "Siuntė mane močiutė" [Mother Sent Me] [VL 284], "Bėkit bareliai" [Stretch Away, Fields] I-IV [VL 279] (Piano: Vytautas Landsbergis)

LPの演奏にはリトアニアの素朴な暖かさが良くあらわれている気がしました。

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チュルリョーニスの時代』(佐藤泰一/村田郁夫訳、ヤングトゥリープレス 2008)
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リトアニアを象徴する作曲家・画家チュルリョーニスの伝記が発売になりました!
ピアノ曲の楽譜、詳細なディスコグラフィー、音楽作品リスト、参考文献目録も収録!
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by ciurlionis | 2009-01-14 23:59 | 音楽