川村記念美術館で今日から開催の「開館20周年記念展 アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン」へ行ってきた。

バーネット・ニューマン (1905-1970) は、ニューヨーク生まれのロシア系ユダヤ人。単色の巨大なカンバスに「ジップ」と呼ばれる垂直線を配する作品で良く知られている。

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佐倉駅から美術館のバスにゆられること30分ほどで美術館に到着。途中眼前に広がる田んぼは収穫の時期を迎えていた。5月に訪れた時は青々としていたのに、時が経つのは早いものだ。たまに時間を掛けてのんびりとこの美術館を訪れるのが何よりの楽しみ。都内ほど観客は多くないし、大自然に囲まれた庭園では夏の虫の大合唱も聴くことができて日本の夏を一日で満喫した。今日も35℃を超えた猛暑日だったようだが、不思議と暑さを感じなかった。

今日は14時からニューマン研究の第一人者、イヴ=アラン・ボワ氏(プリンストン高等研究院歴史研究科教授)によるレクチャー「ニューマンにおけるユダヤ性」があったのだ。

14時から2時間の予定だったレクチャーは大幅に時間が延びて終了したのは17時近くだった。。シンプルなニューマン作品をユダヤの精神と関連付けて細部にわたって説明を聴くことができてとても勉強になった反面、ニューマンは本当にここまで深くユダヤ的なるものを自作に盛り込んだのか? と疑問を抱いたりもした。しかし総じてとても充実した実り多きレクチャーだった。

展覧会の方は、少々展示数が少なめで残念に思ったのは否めないが、ニューマンの作品は現存する点数が少ないうえに「高額」と聞いているので、これだけの作品をまとめて見られただけでも幸せと思うことにした。いつものニューマン・ルームではない部屋で《アンナの光》を観て、外光から遮断された天井の高い部屋の方がこの作品には適しているように感じた。このニューマン最大の作品にはその作品を包み込むだけの広大な壁が必要なのだ。また、赤褐色の作品《存在せよ I》と《18の詩篇》の一部からはマーク・ロスコを連想した。同時代の画家同士、影響し合っていたのかも知れない。このふたり、没年まで一緒なのだ。この美術館にはロスコ・ルームがあるので、そちらもぜひ観てみてほしい。

会期は、2010年12月12日(日)まで。9月17日までは「早期来館割引クーポン」が美術館のホームページにてダウンロードできるので、ぜひ訪れてみていただきたい。

展覧会図録も装丁がステキで、見ごたえがありました。おすすめです。

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by ciurlionis | 2010-09-04 21:59 | 美術
2010年5月に書いた記事です。あしからず。

先日の新聞で千葉県佐倉市にある川村記念美術館のつつじが見ごろとあったので、その躑躅を観に行ってきました。私の大好きなピンク色のツツジが一面に広がっていて、とても幸せな気分になれました。

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レストランの隣にある小さな売店でイギリスのフェンティマンズのジンジャー・コーラを見つけたので飲んでみました。「う~ん、この味!」青空の下で飲む苦甘いコーラの味は格別でした。また、フレーバーを選ぶことができるエスプレッソも売っていましたのでおすすめです。庭園の奥の方では移動ピザ屋さんも出ていました。

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先日のブログにも書きましたが、美術館では「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」という展覧会を開催中ですのでこの機会にぜひご覧ください。常設展もモネ、ピカソ、シャガールなどの傑作が揃っていますのでおすすめです。

また、この「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」展のために特別に作られたカタログ『箱宇宙を讃えて』は、フランス綴じ、テキスト活版印刷というめずらしいもの。フランス綴じの袋状ページをカットできるようにペーパーナイフも別売りされていましたが、私は「すでにカットされたもの」を購入。。。なんでも、活版印刷は日本では2社しかやっていない?ようで、とても珍しいものですのでぜひミュージアムショップへも立ち寄ってみてください。

この美術館は駐車場もたくさんありましたので、車でのお出かけにも便利です。

GW中に訪れてみてはいかがでしょうか? (研究所敷地内のツツジの公開は5月5日まで)

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by ciurlionis | 2010-05-01 23:59 | 美術

企画展「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」を観に、千葉県佐倉市にある川村記念美術館へ足を運びました。昨晩降った雪がいたるところに残っていました。桜は終わっていましたが、菜の花や新緑が目を楽しませてくれました。

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ジョゼフ・コーネルは、小さな木箱のなかに身近にあるものの断片などを配し、独特の小宇宙を作り上げる芸術家として知られていますが、今回の展覧会は、この美術館が所蔵する全16点のコーネル作品一点一点に、詩人の高橋睦郎さんによる詩がつけられているというとても画期的な展覧会でした。

今日はその高橋睦郎さん自らが美術館を訪れ、コーネルの作品との出会いや作品の魅力を語り、コーネルの作品に捧げられた新作詩を朗読してくださいました。寒い日であったにもかかわらず100人を超えるほどの人々が、高橋さんの朗読する詩に耳を傾けていました。

展覧会場もまさに小宇宙と呼べるような工夫が凝らされたひとつの空間となっていて、期待以上のものでした。コーネルの作品ひとつひとつも完成度の高いものなのですが、それにつけられている詩がまさにその作品を物語っていて素晴らしい! ぜひ訪れていただいきたいと思いました。

これからは美術館の庭園のツツジがきれいな季節でもありますのでおすすめです。会期は7月19日(月・祝)までです。

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『コーネルの箱』(単行本)

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by ciurlionis | 2010-04-17 23:59 | 美術

最近は、今月末からの渡欧準備のためバタバタとしており、なかなかブログをアップできないのだが、今日は、千葉県佐倉市にある川村記念美術館のマーク・ロスコ展の終了日が6月7日から11日に延長されたとの情報を得て「シーグラム壁画」の見納めをしてきた。

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先日のブログにも少し書いたのだが、マーク・ロスコ(Mark Rothko, 本名 Markus Rothkowitz, 1903-1970) は、ロシアのドヴィンスク(現在のラトヴィア共和国、ダウガフピルス)生まれのアーティスト。

ロスコ一家は1913年にアメリカに移住するのだが、10歳まではロシア(現在のラトヴィア共和国)で育ったことになる。

今回一連のシーグラム壁画を観ていて、ふと思ったことがある。

この壁画に使用されている「濃い赤褐色はラトヴィア共和国の国旗の色ではないか?」と。

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この赤褐色は単なる偶然の一致かも知れないし、もしかしたらロスコが幼少時代を過ごしたラトヴィアを想って描いた?のかも知れない。。それとも人間を含む多くの生き物の血液の色なのか。。。


この展覧会に合わせてロスコの図録(画集)"MARK ROTHKO"が発売になっています。今回の展覧会で展示された作品のみならず、ロスコのほとんどの代表作を網羅しています。ご興味のある方はぜひどうぞ。

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by ciurlionis | 2009-06-11 23:59 | 美術

今日は、千葉県佐倉市にある川村記念美術館で開催中の「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展に行ってきました。

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マーク・ロスコ(Mark Rothko, 本名 Markus Rothkowitz, 1903-1970) は、ロシアのドヴィンスク(現在のラトヴィア共和国、ダウガフピルス)生まれのアーティストで、大きなキャンバスに独特の色彩で抽象的な形象を描くことで良く知られています。

今回の展覧会で取り上げられている〈シーグラム壁画〉は、もともとニューヨークのシーグラムビル内にある最高級レストラン「フォー・シーズンズ」の一室のための壁画として描かれたものですが、30点もの作品を完成させたにもかかわらず、そのレストランの雰囲気が気に入らなかったロスコは、最終的にその仕事を断ってしまいます。その結果30点あった〈シーグラム壁画〉は世界中に散逸してしまったのでした。

30点のうちの主な作品は、7点が日本の川村記念美術館のロスコ・ルームに、9点がロンドンのテート・モダンのロスコ・ルームに、また10点がワシントンのナショナル・ギャラリーに所蔵されていますが、今回の展覧会では、テートが所蔵する3点、ワシントン、ナショナル・ギャラリーが所蔵する5点、川村記念美術館が所蔵する7点の合計15点が公開されています。散逸していた15点が一堂に会するのは世界でも初めてのことだそうです。

照明が暗く、作品同士の間隔も広めに取られていた通常のロスコ・ルームの展示方法とは異なり、今回の展覧会ではロスコ本来の構想に基づいて、作品同士の間隔を狭く、壁の高い位置に展示する方法が取られていました。照明もいつもより明るいので、いままで気づかなかったロスコの繊細なブラッシングや重ね塗りを間近に鑑賞することができ有意義でした。

ロスコには縁があったのか、昨年5月にロンドンを訪れた際、テート・モダンを訪れて「ロスコ・ルーム」をじっくり体験した(その流れで、リトアニア出身のマチューナスが主宰した「フルクサス」の部屋や、ジョナス・メカスの部屋も興味深く鑑賞しました)のですが、その2週間後には日本に帰国し、他の展覧会でたまたま訪れた川村記念美術館の「ロスコ・ルーム」でもロスコを観るという幸運に恵まれ、2週間のうちにロンドン・テートで9点、川村で7点の〈シーグラム壁画〉を観ることができたのでした。そして、今年はまたも川村で全く趣の異なる期間限定の「ロスコ・ルーム」を間近に体験。この上ない幸せでした。

また、この展覧会に合わせて「展覧会カタログであると同時に、ロスコの全生涯の主要作品や評伝を収めた単行本」と「ロスコ自身の執筆になる美術論集」が出版になっていますので、下記にご紹介しておきます。

MARK ROTHKO (淡交社 2009)
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ロスコ 芸術家のリアリティ―美術論集 (みすず書房 2009)
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by ciurlionis | 2009-03-07 23:59 | 美術