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単行本『チュルリョーニスの時代』



今日は、最近伝記が出版されたリトアニアの作曲家・画家のチュルリョーニスについて少し書きたいと思います。

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ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス、Mikalojus Konstantinas Čiurlionis (1875-1911)は、リトアニアを象徴する作曲家・画家です。わずか35年の生涯のうち、作曲家としては交響詩、弦楽四重奏曲、ピアノ曲、オルガン曲、リトアニア民謡を編曲した合唱曲など、約350曲の音楽作品を作曲、また画家としてはテンペラ画を中心に素描スケッチを含むと400点近い絵画作品を遺しています。また、文筆作品や写真作品にも興味を持っていました。


このたび、リトアニアの元最高会議議長ヴィータウタス・ランズベルギス氏の著書、Vytautas Landsbergis, "M. K. Čiurlionis: Time and Content," Lituanus, 1992の
邦訳チュルリョーニスの時代(佐藤泰一・村田郁夫訳)がヤングトゥリープレスより発売になりました。


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チュルリョーニスやリトアニアというとみなさまにはあまり馴染みがないかも知れませんが、もしかしたらジョナス・メカス監督の映画『リトアニアへの旅の追憶』でいつのまにかチュルリョーニスに触れていたかも知れません。この映画のバックグラウンドに流れていたのが、ランズベルギス氏の弾くチュルリョーニスのピアノ曲でした。また1992年には、かつて池袋にあったセゾン美術館で『チュルリョーニス展‐リトアニア世紀末の幻想と神秘』が開催されたことで日本でも知られるようになりました。


この日本版のためにランズベルギス氏自ら補足を行い、原著には存在しない新しい章「チュルリョーニスの精神」が加わえられました。


また、世界的に有名な映画監督ジョナス・メカス氏からも「リトアニアはチュルリョーニスである」という詩が寄せられています。この詩にはチュルリョーニスの絵画「射手座を横切る太陽」を連想させる部分がでてきます。単行本『チュルリョーニスの時代』_c0193950_18291018.jpg


本書ではチュルリョーニスの生涯をたどり、音楽作品や美術作品を取り上げて詳細に解説しています。また、彼の文筆作品も紹介されていますし、彼自らが撮った写真や彼と妻ソフィヤの写った写真をみることができます。巻末には、音楽作品の楽譜、LPやCDなどの詳細なディスコグラフィ、文献リストなども付いていてチュルリョーニスを知るには最適の一冊です。


先日もちょっとお話ししましたが、今年2009年はリトアニアのヴィリニュスが「欧州文化首都」に指定されていてこのチュルリョーニスの展覧会を含む多くの文化イヴェントが催されますので、ぜひみなさまにもおすすめしておきたいと思います。
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by ciurlionis | 2009-01-02 23:59 |