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映画『チェチェンヘ アレクサンドラの旅』 アレクサンドル・ソクーロフ監督



先日、渋谷のユーロスペースで映画『チェチェンへ~アレクサンドラの旅~』を観てきました。

ご紹介するのが遅れてしまったのですが、1月30日まで上映されています。

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この映画のすばらしいところは、世界的オペラ歌手のガリーナ・ヴィシネフスカヤさんが主人公を演じている点ではないでしょうか?ガリーナさんはご存じのとおりチェリストのロストロポーヴィチ氏の奥さまです。私も学生の頃にこのロストロ先生の弟子であるチェリストのアレクサンドル・イヴァシキン氏にロシア音楽史やオーケストラの授業を教わっていて、イヴァシキン先生がよくロストロ先生のお話しをしてくださいました。「ロストロ先生は朝からウォッカをお飲みになるのだよ」などと学生を笑わせたり感心させたりしていたのを覚えています。また、グルジア人ピアニストとリサイタルを開いたことをきっかけに彼女からグルジアやチェチェンの話を聞いていたこともあり、この映画には特に関心を持っていました。

この映画は、主人公アレクサンドラを演じる80歳のヴィシネフスカヤさんが、チェチェンに駐屯している孫でロシア人将校のデニスを訪問する話で、わずか3日間ほどの話のなかに、ロシア軍兵士たちの日常や、いつ終わるかわからない戦争への不安、また、現地チェチェン人たちの声や、敵も味方も関係なくひとを愛し、もてなすことを忘れない女性たちとの交流などがアレクサンドラとの会話を通して描かれています。

戦争を題材としている映画とはまったく感じられないほど、駐屯地やその周辺の人々の日常が静かにドキュメンタリー的に映し出されていて、ソクーロフ監督らしい人物を中心としてみせる映像に引き込まれました。この映像を通してのみ訴えられる「平和への願い」がとても伝わってきました。

また、ヴィシネフスカヤさんを主役に起用できる方なんてソクーロフ監督しかいないのではないでしょうか?この映画の存在を知ったとき、ロストロポーヴィチ氏の人生を描いた映画『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』のことを思い出しましたが、奥さまを主人公とした映画も計画していたとは!こちらもすばらしい映画なのでした。

参考までに、ロストロポーヴィチ氏の伝記やヴィシネフスカヤさんの自伝も日本語に翻訳され出版されていますので、これを機会にご紹介しておきます。私も近いうちに図書館で借りて読みなおしたいと思います。アレクサンドル・イヴァシキン先生の著書で『栄光のチェリスト ロストロポーヴィチ』という本が春秋社より、また、『ガリーナ自伝―ロシア物語』がみすず書房より出ています。

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by ciurlionis | 2009-01-29 23:59 | 映画