カンディンスキーと青騎士展 三菱一号館美術館
企画力を感じさせる内容の充実した展覧会。
カンディンスキー、ミュンター、ヤウレンスキー、ヴェレフキン、マルク、マッケ、クレーなどが展示されていたのですが、特にカンディンスキーとマルクの作品は青騎士のグループのなかでも群を抜いて優れていると実感しました。構図、色彩感、筆のタッチなど、どれをとってみてもセンスの良さが光っているのです。
今日はたまたま「鑑賞者が少なめでゆっくり観られるといいな」と思って足を運んだのですが、思いもよらない驚くべき事実を知らされました。この展覧会のチラシにも採用されているカンディンスキーの《印象III(コンサート)》についてのエピソードです。
今から100年前の1911年1月2日の夜、カンディンスキーは、ミュンター、マルク、ヤウレンスキー、ヴェレフキンらとともに、シェーンベルクの楽曲が演奏されるコンサートに出かけ、その演奏会に感銘を受けたカンディンスキーが演奏会の翌日、つまりちょうど100年前の今日、1911年1月3日にこの《印象III(コンサート)》を描いたというのです。
キャプションを読んで、あまりの偶然にビックリして、絵の前でひとり茫然としてしまいました。
「青騎士」というとあまり知られていないので「何?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、カンディンスキーやマルクの代表作を間近に観ることができ、ミュンヘンの画家たちが世界に先駆けて未知の領域を切り開いた時代を実感できるまたとないチャンスですので、ぜひご覧になるようおすすめします。
会期は2011年2月6日(日)まで。
青騎士 (ニューベーシック) [単行本(ソフトカバー)] ハーヨ・デュヒティング (著)